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ジュニオール・サントスに驚く夏。
マリノスは“途中”の補強が上手い。
posted2020/08/29 09:00
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph by
J.LEAGUE
序盤戦で大きく出遅れた昨季の王者、横浜F・マリノスが調子を上げてきた。
直近3試合で、清水に4-3、広島に3-1、札幌に4-1と3連勝。消化試合がひとつ多いが、6位まで浮上した。
3試合11得点というゴールラッシュの主役は、8月11日に柏から期限付き移籍したジュニオール・サントス。移籍から4日後の大分戦で途中出場したブラジル人は、続く清水戦からスタメンに名を連ね、2点、1点、2点と3試合で5ゴールを荒稼ぎした。いまもっとも波に乗っているストライカーといっていい。
正直なところ、筆者はサントスの活躍に驚いている。というのも柏時代、ほとんどいいところがなかったからだ。
オルンガの後塵を拝していた。
サントスは昨年7月に柏へ加わったが、ゴールを決め続けるオルンガの後塵を拝していた。
J2での昨季は出場わずか8試合、スタメン出場は2試合にとどまった。J1で迎えた今季もわずか1試合、たった17分しかピッチに立っていない。
ネルシーニョ監督が、サントスを使わなかったのもわかる。
前述したようにオルンガが快進撃を続け、サントス自身もかぎられた時間の中で結果を出すことができなかったからだ。
サントスは70分前後でピッチに立つケースが多かったが、チームが敵陣に押し込む中でスペースを見つけられず、窮屈そうにプレーしていた。
ゴール近くでボールを持っても、なにもできないままボールを失い、そのたびに日立台はため息に包まれるようになった。
期待されないことほど、選手にとってつらいことはない。一度定まった評価を覆すのは、サッカーに限らず非常に難しい。あのまま柏にいたところで、恐らくいいことはなかっただろう。