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半年ぶりに再開! 来夏を見据えた熱闘。
リードジャパンカップレポート <男子編>
text by
津金壱郎Ichiro Tsugane
photograph byMATSUO.K/AFLO SPORT
posted2020/08/31 14:00
20歳・田中修太がにじませた悔しさ。
3位はW杯リードで表彰台の経験もある20歳の田中修太(新潟県山岳協会)。雨が降るなか行われた初日の予選1本目のBルートで51選手中43位と不覚をとったものの、2本目のAルートでは1位タイを記録。地面に降りるや、大きな声で悔しさを吐き出した。
「あの落ちたあたりが予選通過には必要だと思っていたので、『もっと行きたかった』の叫びでした。120パーセント、腕はパンプしてました」
田中は大会直前の練習がままならず、「ギリギリ間に合ったかどうか」と不安を抱えたなかで臨んだLJCだったが、予選を20位で通過すると、28選手で争った準決勝を7位通過。一般的にリード種目は予選を14位以下で通過した選手が決勝進出に漕ぎつけることは少ないなか、田中は予選から決勝までの5本のルートを登るたびに、本来の力を取り戻していったと感じさせるパフォーマンスだった。
楢﨑智亜は4位も清々しい表情。
東京五輪代表の楢﨑智亜(TEAM au)は、予選を1位、準決勝を5位で通過すると、決勝ではほかの選手たちが苦戦したダブルダイノのセクションをあっさり攻略。完登が視野に入った直後に足を滑らせてフォールして4位に終わった。ただ、その視線は常に来夏に向けられている楢﨑の表情は清々しいものだった。
「大会前はauクライミングウォールでリードの練習をしてきたのですが、最上部に行ったときの前腕の余裕は、これまでの大会よりもあったと思います。結果は順調とは言えないですが、感覚的には良くなっています。東京五輪の目標は優勝なので、ここからもう一度3種目すべての練習に戻って、すべてのベースアップをしていきたいと思います」