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3年生の起用か、2年生の経験か。
天理と広島新庄の別れた判断。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2020/08/11 16:00
広島新庄は、多くの2年生を起用して戦い、勝利で夏を締めくくった。
起用法が別れた広島新庄と天理。
広島の独自大会から2年生を積極的に起用してきた宇多村は、チームがひとつになって戦うことの大切さを教える迫田守昭前監督の言葉についてずっと考えていた。
チームは3年生だけで成立するわけではない。レギュラーを取るか否かに関わらず、突き上げてくる2年生の存在がチームを強くする。学年に分け隔てなく選手起用をした宇多村のマネジメントには、そんな思想があった。
天理の中村監督にしても、決して3年生の起用に固執したわけではないという。独自大会は3年生のみで戦ったが、今大会は2年生4人がベンチに入っていた。それでも遊撃手に杉下海生を先発起用しただけで、昨秋の近畿大会優勝の立役者だった2人を積極的には起用しなかった。
達も語った3年生への想い。
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中村監督は、瀬を代打に起用しなかった理由についてこう話した。
「瀬は4月から1カ月近く骨折で野球をしていなかった。その間に頭角を現したのが今はレギュラーになった田中勝大だったんです。田中勝は県大会で5割くらい打っていたんでね。そういう選択になりました」
一方、9回に1イニング登板を果たした天理の右腕・達孝太(たつ・こうた)は昨秋以来の公式戦マウンドだった。彼もまた、3年生への想いを口にした。
「3年生とのラストゲームだったんで、なんとか、勝利に貢献できるようにと思ってマウンドに立ちました。(久しぶりのマウンドは)バッターの反応を見れたのはよかった。秋よりも低めが伸びることが確認できた」