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渡辺明二冠、初の名人奪取へあと1勝!永瀬叡王vs.豊島竜王・名人、羽生善治九段の竜王挑戦の道などお盆も激戦必至。
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by日本将棋連盟
posted2020/08/09 11:30
渡辺明二冠(左)と豊島将之名人(竜王と合わせて二冠)の名人戦第5局は棋士の驚きの発想力が詰まった一局となった(別日撮影)。
8月7日、8日に第78期名人戦七番勝負第5局が東京の「将棋会館」にて行われ、渡辺明二冠(36)が128手で豊島将之名人(30=竜王と合わせて二冠)に勝利した。
非公式ながら棋士の強さをリアルタイムで更新するサイト「将棋連盟 棋士別成績一覧」においてのレーティングで、対局前まで藤井聡太棋聖と永瀬拓矢叡王に次ぐ3位、4位につけていた渡辺二冠と豊島名人。現役で“4強”とされる棋士のうちどちらが名人位へ“あと1勝”にするかの本局は、1日目に序盤から定跡から外れる驚きの展開となった。
当初は相居飛車で進み、飛車先の歩を五段目まで進めた渡辺二冠だが、「棒銀」戦法を狙いに来た豊島名人に対して、渡辺二冠の22手目は「4二飛」。振り飛車の「四間飛車」へと移行する一手を繰り出した。
王座獲得経験がありNumberWebにて連載開始予定の中村太地七段も「ものすごい戦いになりましたね」と振り返るほど前例のない対局に。その後も豊島名人が29手目で左端の9筋に桂を跳ねたかと思えば、その直後に渡辺二冠は「5一玉」と居玉を選択するなど、驚きの発想の応酬となった。
1日目から大きく動いた本局は、2日目の午後に攻勢を仕掛けに来た豊島名人に対して渡辺二冠が冷静に対応しきって128手までで渡辺二冠の勝利。すでに永世竜王・永世棋王の資格を得ている渡辺二冠が、ついに自身初となる名人位奪取へ王手をかけた。
将棋界は今週も“ビッグマッチ”続きだ。8月10日には永瀬叡王と豊島竜王・名人の叡王戦第7局、13日には竜王戦決勝トーナメント準決勝で1組優勝の羽生善治九段が5組優勝の梶浦宏孝六段と対局。そして14、15日には名人戦第6局が開催される。お盆の時期も盤面の攻防から目が離せない。