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八村塁、再開初戦とPO進出への課題。
“22歳の中心選手”に託される命運。
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byDavid Dow/NBAE via Getty Images
posted2020/08/02 12:30
NBA再開初戦、サンズ相手に「スマートにプレーできなかった」と話した八村。プレーオフ進出が懸かるネッツ戦は日本時間3日早朝に行われる。
痛恨の敗北に、ブルックスHCは?
ウィザーズは後半に入って追い上げたものの、弱点のディフェンスが乱れ、結局112-125で完敗。この日まで26勝39敗のサンズには勝機があると目されていただけに、イースタン・カンファレンス9位のウィザーズがプレーオフ進出を目指す上で痛恨の敗北といってよかった。
この日の八村のプレーには、評価すべき部分が数多くあったのも事実である。最終的に5ターンオーバーを犯したが、FG8/15、フリースローも5/5とシュートの精度は良好。気持ちを切り替えた後半には13得点を挙げ、追い上げの原動力にもなった。
スコット・ブルックスHCはこう述べていた。
「(八村は)しっかりと持ち直した。今季これまでにもこういう試合があった。若い選手が序盤にファウルトラブルに陥ると萎縮してしまうことが多々あるが、塁はファウルと付き合いながらプレーすることはできる選手だ。ファウルトラブルの後はしっかりと安定したプレーを見せてくれた」
実際に不調のままずるずる終わらなかったことの意味は大きい。なかなか本領発揮できなかったゲームでも、最終的にはチーム最多の21得点、8リバウンド。これだけの数字を叩き出しても、試合後には不満げな表情を隠さなかったのは自身への期待の大きさの表れだろう。ブラッドリー・ビールというエースが不在で臨んだ練習試合時から指摘されてきた通り、八村が心身ともに確実に成長していることは間違いない。
“ウィニング・プレーヤー”への課題。
ただ……こうして八村が貴重な経験を積み重ねている一方で、彼が中心になったウィザーズがすべてのゲームに敗れている事実も無視するべきではない。
毎試合のように接戦に持ち込みながら、練習試合では3戦全敗。今回、サンズにも敗れ、プレーオフ進出にはもう後がない状況になってしまった。今のウィザーズでは八村とベテランのイシュ・スミスが中心になるのだから、チームの勝敗の責任が少なからず問われるのも仕方ない。ルーキーには厳しい要求になるが、自身が好成績を残すだけではなく、チームを勝利に導くのが八村にとっての次のステップになるのだろう。
「誰が出ていようが、ディフェンスでしっかり抑えるところは抑えなきゃいけない。(練習試合)3試合を見ていても、最後の2、3分でディフェンスがしっかりできていないし、止められていない。ディフェンスが鍵になるんじゃないかなと思います」
25日のクリッパーズ戦後、ウィザーズが接戦を勝ち切るために必要なことを八村はそう説明していた。「誰が出ていようが」と話していた中にはもちろん八村も含まれる。特に守備時のポジショニングとフットワークはまだ物足りないものがあり、チームを勝たせる“ウィニング・プレーヤー”になるためにはその部分の向上は必須だ。