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岩波拓也の覚悟は浦和を変えるか。
「期待に応える自負はあります」
text by
佐藤亮太Ryota Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/07/30 11:40
エヴェルトンのハッスルプレー後、笑顔で手を貸しつつ声をかける岩波拓也。リーダーになりうる資質を身につけつつある。
競争でチーム全体に緊張感が。
低迷した2019年シーズンを経て今季の浦和は再建を目指している。
チームは攻撃的なサッカーを目指すべく、布陣を3バックから4-4-2に変更した。そこで、岩波はある変化の兆しを感じている。
それは「正当な競争」だ。
「サッカー自体が変わり、誰が試合に出られるか分からない、そうした緊張感がチーム全体に出てきました」
この競争を勝ち抜き、岩波はリーグ7試合中6試合で先発フル出場を果たしている。
新型コロナウイルス感染症拡大によるリーグ戦中断があった中で序盤戦を振り返ると、試合内容は一戦ごとに異なる顔を見せているように感じる。
開幕の湘南ベルマーレ戦のような逆転勝利があれば、昨シーズン1度も勝てなかった横浜F・マリノスや鹿島相手に無失点で抑え、さらに鬼門であるアウェイのベガルタ仙台戦で2-1と競り勝った。これらの試合は堅守が光っていた。
DFとして多くの失点は許されない。
一方で、岩波の脳裏をよぎるのは複数失点で連敗した5節・FC東京戦(0-2)と6節・柏戦(0-4)だ。
「FC東京戦の2失点目(66分、FWアダイウトンのゴール)は悪い言い方をすれば、ファールしてでも止めなくてはならない状況でした。柏戦は“0-2までは仕方がない”と切り替えなければいけませんでしたし、それ以降の失点は必要なかった。0-2の時点で我慢して1点取れていれば、状況は変わったでしょうから……自分の(試合への)コントロールがまだまだ足りなかった。DFとして多くの失点で負けるのは許されない」
こう反省を口にした岩波。前節・横浜FC戦はベンチ外となった。
過密日程による疲労を考慮してか、それとも連敗の流れを変えるためか。ベンチ外の理由は大槻毅監督の今後の起用法を見るまではわからない。ただ本人は「結果だけ見れば連敗。良くない結果でした」と悔しさをにじませた。
レギュラーが約束されていない「正当な競争」の中で次節、清水エスパルス戦に向けて出直しを図ろうとしている。
「クラブからの期待、監督からの期待は感じています。そうした期待に応える自負は僕にはあります」
Jリーグでも屈指といえる競争の中で、覚悟と責任を背負った岩波拓也が世代交代の旗手となるべく、心に秘めている野望を垣間見た。