太田雄貴のEnjoy FencingBACK NUMBER
無観客配信と、新たなる人材募集。
試練の夏、フェンシング界は前を向く。
posted2020/07/26 11:30
text by
太田雄貴Yuki Ota
photograph by
Sports Graphic Number
2020年7月。
まさにTOKYO2020、東京五輪が開かれていたはずの、7月。
世界を覆い尽くした新型コロナウイルスが、全てを変えてしまいました。
そして、今。
経済優先か、それとも安全を優先するのか――。
ウイルスの感染拡大が収まらない中、こうした両極の間でさまざまな業界の方々が、それぞれに厳しい判断を迫られていることと思います。
スポーツ界も、同様です。
日本フェンシング協会としても、コロナ禍に見舞われた春先以降、ずっと模索を続けてきました。
私個人としても、「これは決して半年やそこらで収まる話ではない」と覚悟を決めて、今後とりうる方針を考えていました。
自分の努力によってできることは、可能な限り実現していくべく努力する――。
コロナ禍の状況に限らず、どんなときでも私が行動の指針としている信条です。
ならば今、私たちにやれることをやるのみ。
この6月から7月にかけて、日本フェンシング協会は大きな2つのアクションを起こしました。
ひとつは、「第73回全日本フェンシング選手権大会」の9月開催、および、新しい大会コンセプト「NEW STANDARD」を6月下旬に発表したこと。
そしてもうひとつは、7月13日から、協会として「パートナーシップマーケティング職」の応募を、ビズリーチさんとの取り組み第二弾として開始した、ということです(募集期間は8月12日まで)。
この状況下で、新たな人材を外部に募るということに、驚かれる方もいるかもしれません。
今回は、この2つの新たな“挑戦”について、お伝えできればと思います。
新たな大会運営と新たなコミュニティの形成。
まず、全日本選手権について。
9月17日~19日の予選は全試合ネット配信、そして26日の決勝は昨年同様ABEMAでの配信という、完全配信のみでの観戦を体験していただく大会となります。
ここで重要になるのが、大会コンセプトである「NEW STANDARD」です。
新たな大会運営(NEW MANAGEMENT)、会場での観戦とは異なるオンラインならではの新たな体験(NEW EXPERIENCE)、そして観客との新たな関係性(NEW ENGAGEMENT)という、三本柱で構成されています。
最少人数&リモートで実施、といった大会運営面。
あるいはクラウドファンディングやギフティング制度(いわゆる投げ銭)を用いて観客と繋がり、コミュニティを形成していく、ということ。
この二本の柱は、ご理解いただきやすいことかと思います。