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「みんなが変で、バカだった」
'80年代全女最狂伝説、延長戦!
text by
伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph byNanae Suzuki
posted2020/07/03 17:00
東京・目黒の全女ビル跡地。撮影予定時間の30分前、いち早く現れたのはダンプ。現役時代から時間前行動で、「私はいっつも待たされるの」。
イスを見ると「飛びて~!」。
――デビュー4年後にクラッシュが結成されて、女子プロ人気はまたたくまに全国区となりました。
ダンプ ビューティ(・ペア)のときもだけど、人気って、いきなりなんだよね。「えっ、事務所の前にこんなに人がいる!」「後楽園(ホール)にこんなに客が入ってる!」って。
大森 っていうか、うちらが入ったときが下火すぎて……。
飛鳥 ビューティが解散して、(スター選手が)ジャッキー(佐藤)さんしかいなかったから。
大森 新人のうちらは、イス並べにリング作り、ビラ配りとか全部をやらされて。
ダンプ お客さんが8人くらいしかいないこともあった。
飛鳥 新人が10人で、お客さんが数十人しかいないのに、1人10冊もパンフを渡されて、「全部売ってこい」って。
大森 私は売れないから、トモに全部売らせてたんだよね。子分だった(笑)。
飛鳥 お客さんはいないんだけど、興行師さんがついてたから、巡業はできた。それでチケットもはけてたから、イスだけはいっぱい。忘れもしない、九州の田舎で1000人規模のイスを並べたんだけど、お客さんは数えるほどしかいなくて、場外乱闘で誰が何列倒すかって……。
ダンプ やったねー! 流行った!
飛鳥 自分は11列倒した(笑)。
ダンプ トンちゃん(飛鳥)が一番だったと思う。ユウさんもすごかったけど。自分で走ってって、前方回転してダダダーッて倒れるのね。それを競争してた。
大森 だから私ね、子どもの入学式とか行くじゃん。今でも(イスが並んでいるのを見ると)、「飛びて~!」って思っちゃう。
飛鳥 それはおかしい(笑)。
大森 今、仕事でお菓子屋さんとかに行くんだけど、一斗缶があると「殴られたい!」って頭に当ててみたり。これは職業病なのかなぁなんて思ったりして。