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「みんなが変で、バカだった」
'80年代全女最狂伝説、延長戦!
text by
伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph byNanae Suzuki
posted2020/07/03 17:00
東京・目黒の全女ビル跡地。撮影予定時間の30分前、いち早く現れたのはダンプ。現役時代から時間前行動で、「私はいっつも待たされるの」。
「変わってるんだよね、みんな」
大森は現在、静岡県三島市に住む。仕事をしながら、20歳と18歳の愛娘を育てる。飛鳥はタレント活動を続けつつ、東京・銀座でクラブを経営。ダンプはタレント兼レスラーだ。長与はこの日、スケジュールの都合で欠席となったが、3人の口からは事あるごとに「千種は」と出た。
ダンプは今でも、女子プロ団体・マーベラスを運営する長与と、リング上で接点を持つ。飛鳥は、’05年に解散したGAEA JAPANのリングで「クラッシュ2000」を復活させた。4人にとって全女は源流。振り返ることが減っても、ルーツであることに変わりはない。
「変わってるんだよね、みんな。社長たちも、選手も。変わってて、変態だし、バカみたいで、“こんなの許せない!”ってことが多かった。でも、全女にいたから、今の自分がいる。感謝はある。何かしてもらってありがとうっていうのは、あんまりないけどね」(ダンプ)
やられたらやり返す。全女イズム。全女がイチバン。全女帝国。最狂団体。
さまざまなキャッチコピーが付けられた全女という団体。現存していれば国内最古だった。惜しくも'05年、創業者の松永高司会長(故人)の手によって幕引きとなったが、多くのモンスターたちが巣立ち、クレイジーな教訓が跋扈した。この事実だけは、消えることがないだろう。
発売中のNumber1006号「ベストバウトをぶっ飛ばせ!」は「花の55年組」が顔を揃えた同窓会の本編「全女黄金時代のクレイジーな青春」のほか、スケジュールの都合で欠席した長与千種インタビュー「モンスター工場に育って」を掲載。80年代の少女が熱狂した全女の記憶がよみがえります。ぜひお手にとってご覧ください。