All in the Next ChapterBACK NUMBER
「強くなった堀口恭司を見せますよ」
懸命なリハビリ、朝倉海への闘志。
posted2020/06/21 19:00
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph by
CoCoKARAnext
「最近、家を買いました。アメリカに住み続けるための家を。犬も飼おうかなと思っています」
画面の向こうの総合格闘家・堀口恭司は現在住んでいる米・フロリダにある寮の部屋で、ハニカミながら嬉しそうに話してくれた。
「こっちに来た当初は、ファイターとしての人生が終わったら日本に帰ろうと思っていましたが、所属しているアメリカン・トップチームに本当にお世話になったことで、こっちに残って恩返ししたいと思うようになりました。グリーンカードも取得できれば、フロリダでチームのみんなと一緒に居られるので」
リハビリ8カ月目、今は「無」に。
堀口がアメリカに渡ってから、4年の時が経った。その間、UFCで結果を残し、RIZINのベルトを獲り、そしてベラトールの世界王者にも辿り着いた。
日本の総合格闘技界の顔となった2019年の秋、堀口は選手生命を左右する大怪我を負う。右ひざ前十字靭帯断裂と半月板損傷。
「この怪我からまともに復帰できた選手はほぼいない。だからこそ僕が最初になって、この怪我でも復活できるんだよということを見せてやりたい。所属チームが一体となって僕を支えてくれたお陰で、予定よりも早く回復しています。痛みもなく、間もなく対人でのスパーリングもできるところまで来ました。すでに打撃練習、寝技練習に入っています。回復が早いので、医師からは『強度を上げ過ぎないように我慢しなさい』と言われてますけどね(笑)」
堀口のリハビリ生活は8カ月目に入っている。肉体的には劇的な回復力を見せ、右足の筋力は左足と変わらない数値まできたという。そして精神的には、初めて大怪我と対峙する中で「無」になることを意識してきた。
「リハビリ中は時間があると、余計なことを考えてしまいますよね。だから何も考えないようにしました。無になることに終始してきました。アメリカも新型コロナウイルスが流行して大変な状況になっていますが、それも『堀口、焦るな、今は心を無にしてゆっくりする時だ』というメッセージだと受け取っています」