熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
習近平が熱望、中国W杯出場の秘策。
帰化急増をブラジル出身選手に聞く。
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2020/06/17 19:00
ACLでJリーグ勢も対戦してきたリカルド・グラール。彼がもし中国代表に加われば、厄介な難敵となる。
グラールが語る中国からの誘い。
この3人は広州恒大のチームメイトでもあり、連携は完璧。彼らだけで点が取れる。中国代表が躍進するための秘密兵器、グラールに話を聞いた。
――中国での生活は?
「到着直後から、とても暖かく迎えてもらった。そのおかげで、家族も含め、生活への適応は容易だった。唯一、慣れないのが言葉。話せるのは、日常、よく使う言い回しくらいかな(笑)」
――広州恒大でプレーすることをどう思っていますか?
「中国で最も多くのタイトルを獲得している国内最大のクラブ(16年の歴史を持つ中国リーグで、過去8回優勝。ACLも2度制覇)。ブラジル出身の選手が自分を含めて4人おり、中国人選手のほとんどが代表レベル。攻撃的なスタイルなので、プレーしていて楽しい」
――中国の国籍を取得して中国代表入りする、というプロジェクトはどのようにして始まり、進行したのですか?
「パルメイラスへ期限付き移籍中の昨年5月、広州恒大から話があった。中国代表に入ってW杯出場を目指す、というプランは魅力的だったが、そのためにはブラジル国籍を捨てなければならない。難しい決断だった」
――現在、FIFAは出身国以外の国の代表でプレーするためには18歳以上で5年間居住しており、年代別を含む出身国代表の公式戦に出場していないことを条件としています。それとは別に、国籍取得のために中国政府から求められたことは?
「国歌を覚えること、中国の歴史と文化について学ぶこと、ブラジル国籍を放棄すること、中国名を使うこと、かな」
――中国語については?
「特に高い語学力は要求されなかった。助かったよ(笑)」
入ってもすぐに馴染める。
――現在の中国代表をどう思いますか?
「マルチェロ・リッピ(1995~06年にユベントスを率いて欧州CL制覇。2006年W杯でイタリアを優勝に導く)ら歴代の外国人監督による強化で、着実に進歩している。主将のMF鄭智をはじめ広州恒大の同僚が多いから、自分が入ってもすぐに馴染めると思う」
――今年初めにリッピの後任監督に就任した李鉄については?
「2005年前半に広州恒大でコーチを務めていたから、良く知っている。選手時代に欧州でもプレーしており、国際経験が豊富なリーダーだ」
――晴れて中国代表入りできたとしたら、抱負は?
「中国に帰化した理由は、中国代表をW杯に導き、自分もその舞台でプレーしたいから。もし招集されたら、まずは2022年W杯アジア2次予選を突破し、さらに最終予選を勝ち抜きたい」
――2月下旬に始まる予定だった中国リーグが開幕する見通しは?
「7月3日に開幕することになっている。チームは4月から練習を積んで、リーグ再開に備えている。ACL、リーグ、カップと参加するすべての大会のタイトルを狙うよ」