ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
比嘉大吾が絶望の淵から帰ってくる。
減量失敗、引退危機からの生還。
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byJun Shibuya
posted2020/06/03 11:30
練習場所が公園でも、旧知のトレーナーとの二人三脚復活に比嘉大吾の表情は明るい。
所属ジムのめどはついている。
「バンタム級に上げたら、今までのような流れるコンビネーションだけでなく、より強い、一発で相手を仕留められるようなパンチの打ち方、キック力から生まれる強いパンチが必要になると思います。より横の動きを入れて、もっとクイックネスの効いたボクシングをしたい。そのための練習をしていこうと考えています」
リング外での当面の課題は新たな所属ジムを見つけることで、こちらはある程度めどがついている模様。移籍先が決まれば、いよいよ試合という流れになるが、コロナショックの影響もあり、スケジュールが見えるまでには時間がかかるだろう。それでもなお、比嘉の心に迷いはない。
実は井上尚弥より2学年若い。
「自分は世界チャンピオンになるために横浜に来たと思っています。周りに支えてくれる人がいて、野木さんが一生懸命がんばってくれて、これでチャンピオンになれなかったら100パーセント、オレのせい。でも、やると決めたので、絶対に世界チャンピオンになれると思っています」
キャリアの前半で日本ボクシング史に残る栄光と前代未聞の挫折を味わった比嘉はまだ24歳と若い。あのバンタム級2冠王者、井上尚弥よりも2学年下と考えれば、なおのこと「これからの選手」という印象は強まる。新たなスタートラインに立った比嘉の復活に期待したい。