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勝武士という力士を忘れない……。
新型コロナの話題だけではなく。

posted2020/05/21 20:00

 
勝武士という力士を忘れない……。新型コロナの話題だけではなく。<Number Web> photograph by Kyodo News

2018年7月、岐阜県で開催された大相撲の巡業で「初っ切り」を努めた勝武士(左)。

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荒井太郎

荒井太郎Taro Arai

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Kyodo News

 新型コロナウイルス感染で入院していた大相撲三段目の勝武士が5月13日、ウイルス性肺炎による多臓器不全のため28歳の若さで亡くなった。新型コロナでの死者は角界では初。20代以下の死亡も国内では初めてのケースという。

 日本相撲協会によると勝武士は4月4~5日にかけて38度台の発熱があり、師匠の高田川親方(元関脇安芸乃島)らが保健所や近隣病院に電話で何度も問い合わせたが診察や検査は受け入れてもらえず、血痰が出た8日夜になってようやく都内の大学病院に入院。翌日に転院し10日にPCR検査で陽性と判定され、病状が悪化した19日からは集中治療室で治療を受けていた。

 強いはずの“お相撲さん”がウイルス感染がもとで亡くなったという事実はあまりにも衝撃的で海外でも大々的に報じられた。

 普段のスポーツ報道では関取ではない幕下以下の力士の活躍が十分に扱われることはまずない。おそらく今回の件で勝武士という力士を初めて知った国民が大半であろう。こういう形で世間から大きな注目を浴びるのは何ともやり切れない。

平成19年に15歳で相撲部屋に入った勝武士。

 勝武士は平成19年春場所、15歳で高田川部屋から初土俵を踏み、史上初の無観客で行われた先の春場所は三段目64枚目で3勝4敗と惜しくも負け越し。

 部屋後援会が発行する『高田川新聞』では「次は大勝めざして頑張りたい」と次の場所へ向けて意気込みを語っていた。

 165センチの小柄な体型を生かし相手の懐に入ってもろハズで押し込む相撲を磨き続け、最高位は幕下目前の三段目11枚目。同じ山梨県甲斐市立竜王中学校柔道部の1年先輩にあたる幕内の竜電の付け人を長く務めていた。

 また、巡業や花相撲などでは「初っ切り(しょっきり)」で観客を大いに楽しませていた。

【次ページ】 給料が出ない養成員という身分だが……。

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