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1991年夏の佐賀学園vs.天理を忘れない。
若林隆信青年が見せてくれた意地。 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byKyodo News

posted2020/05/16 11:50

1991年夏の佐賀学園vs.天理を忘れない。若林隆信青年が見せてくれた意地。<Number Web> photograph by Kyodo News

佐賀学園の若林隆信が天理高校の谷口功一から本塁打を放った瞬間の写真。谷口はドラ1で巨人入団を果たすも肩を痛めて活躍は難しかった。

私にとっての、間違いないナンバー1。

 甲子園は毎年、スターと熱戦を生む。

 星稜の松井秀喜、PL学園の福留孝介、大阪桐蔭の中田翔、横浜の筒香嘉智、早稲田実の清宮幸太郎――若林を遥かに凌ぐスラッガーが数多く誕生した。'98年の横浜対PL学園の延長17回や、'06年の早稲田実対駒大苫小牧の決勝戦再試合……。球史に残る大激戦に比べれば、佐賀学園と天理の試合はどうしても霞んでしまう。仕方がないことだ。

 私にとってはその試合こそ甲子園における試合の「ナンバー1」であり、若林隆信が「甲子園歴代ナンバー1スラッガー」なのだ。それはきっと、これからも変わることはない。有名でなくとも、神格化するにふさわしいインパクトを与えてくれた存在は、誰にだって必ずあるはずだ。

 今の甲子園にラッキーゾーンはない。分かってはいるが、夏のグラウンドを見渡すと、私はいつでも'91年にタイムスリップできる。

「若林さん、元気にしてるかな?」

 ノスタルジックな想いに浸る。

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