西武は左の先発を是が非でも。

〔埼玉西武ライオンズ　2020年ひとりドラフト指名選手〕
1位　投手　早川隆久（早稲田大）　179cm72kg　左投左打
2位　投手　森井絃斗（セガサミー）　184cm94kg　右投右打
3位　外野手　来田涼斗（明石商業高）　180cm77kg　右投左打

〔総評〕
　1位で早川隆久が確保できれば、西武首脳陣はさぞ胸を撫で下ろすだろう。

　菊池雄星がメジャーに去って、ただでさえ左腕不足の台所から「左の主軸」がいなくなってしまった。榎田大樹、内海哲也のベテランやルーキー浜屋将太、新外国人ノリン……リリーフで奮投してくれそうな左腕はいても、チームを代表する左腕が見当たらない現状は「組織」としておさまりがよくない。

　早川隆久の加入はいろいろな意味でありがたいはずだ。 応えて早川投手には、即戦力としての働きが要求される。

「150キロ」を狙ったポイントに投げられるサウスポーは、今年のドラフト候補で彼をおいていない。スライダー、ツーシーム……プロで武器になる変化球も兼ね備え、あとは、相手打者に対して「出力」の強弱をコントロールできるかどうか。

　きっと、生まじめな青年なのだろう。無意識のうちに「完全試合」を目指すような“いつも全力”の投げ方になって、後半にへばりが来てしまう勿体なさ。「性分」だといわれてしまえばそれっきりだが、直すなら、早いほうがいいに決まっている。

秋山翔吾の後釜が必要。

　2位の森井絃斗は、現状、知っている人はほとんどいない「実力者」だろう。

　ただし、徳島・板野高当時から知る人ぞ知る無名の逸材だった。本人が行くといえば、高校卒業時に、3位ぐらいで指名されておかしくなかった剛腕だ。

　投げるボールもさることながら、この右腕には、考えながら投げようとする高い意識がある。

　大学出身のバリバリが集まるセガサミーで、高卒2年目から先発を任されるようになったのは、そうした「習慣」が大きい。 コンスタントに140キロ台後半をマークする「エンジン」に必殺兵器のフォークを戦列に加えて、勇躍、西武投手陣に乗り込む。

　カンの鋭い方なら、西武が「来田涼斗」を3位に持ってきた思惑……もうお察しだろう。

　そう、あの「秋山翔吾」の後釜だ。

　俊足・強肩・広角への強打の左打者。ユニフォーム姿のシルエットも合わせ、ここまでは「秋山翔吾二世」かもしれない。

　ここから先は、人に倍する努力を惜しまず、みずからを鍛え続けられるかどうか。その一点に尽きる。

　もちろん、才能にも優れていたが、彼が「偉大なる秋山翔吾」を構築できた一番の理由はそこのところだったことを、来田選手にはまず学習していただきたい。