巨人は東海大の即戦力投手。

〔読売ジャイアンツ　2020年ひとりドラフト指名選手〕
外れ　投手　村上頌樹（東洋大）　174cm75kg　右投左打
1位　投手　山崎伊織（東海大）　181cm66kg　右投左打
2位　投手　川瀬航作（日本製鉄広畑）　182cm87kg　右投右打　23歳
3位　遊撃手　中山礼都（中京大中京高）　180cm79kg　右投左打

〔総評〕  
　1位で東洋大・村上頌樹を落として、山崎伊織に方向転換したのは、決して山崎が「東海大」のせいじゃない。 

　村上を外してなお、「即戦力」に近い投手はといえば、トヨタ自動車・栗林良吏かこの山崎。ヨソの球団だって似たような評価だったろう。「繰り上げ1位」で指名重複が見えていた栗林を回避、山崎に即戦力の期待をかけただけの話だ。

　ヒジのしなやかさで投げるタイプだから、ヒジにより負担がかかるのは当然。ならば、ヒジ周辺の筋肉と靭帯を鍛えよう。

　速球よりも制御できていそうな高精度スライダーでサッとカウントを奪い、速球と見分けの難しいカットボールが音もなくスッと沈んで、凡打に打ち取る。凡退を奪うパターンがはっきりしている投手は、実戦力が高い。

「へんなボール」の強さを思い知っていれば。

「へんなボール」を投げる投手の手ごわさを、戸郷翔征投手のシュートするカットボールや、ホップするようなフォークからジャイアンツが思い知った可能性は十分ある。

　ならば、“その線”で「へんなボール」をもう一枚。

　千葉ロッテ・佐々木朗希を思わせるほどヒザを高く上げて、オーバーハンドかと思えば、そこから重心を低く沈めたサイドハンドが2位・川瀬航作だ。

　140キロ前半でも激しくムーブする速球と高速スプリットは使える。一見「荒れ球」に見えても、ストライクゾーンの中で暴れると逆に脅威になって、昨季、社会人1年目の都市対抗予選、激烈な戦いの21イニングをわずか3失点に抑えた理由が実感としてよくわかる。

「打てて守れる遊撃手」の資質を兼備した高校生はなかなか出てこない。一昨年のドラフト2位・増田陸（明秀日立高）はそんなタイプとして獲得したが、残念ながら故障がち。そこで3位に中山礼都を指名してみた。

　三遊間の打球に飛びついて、体勢立て直して一塁で刺せる体の強さとスローイング能力は一級品。

　タイミングをとりながら右足の裏を投手に見せるような形が踏み込み遅れを生んでいる打の「準備動作」がもったいない。もっと楽にスイングできる方法が見つかれば、化けるはずだ。

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