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竹下佳江がVリーグ姫路に捧げた4年。
監督と子育ての両立、次の役割は?
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2020/04/02 11:40
ヴィクトリーナ姫路での監督業と子育てを両立させていた竹下。「葛藤はあった」と4年間を振り返った。
保育園→体育館→夕飯→分析。
ただ、そうしたチームの厚いサポートがあってもなお、子育てと監督業の両立は並大抵のことではなく、葛藤も多かった。
「上の子は、1歳ぐらいまではずっと一緒にいられたんですけど、下の子に関しては半年で保育園に入れないといけなかったので……。なるべく母乳で育てたいとか、子供に対してこうしたいと思っていたことを、できない自分になった時の葛藤はすごくありました。リーグが始まると一緒に過ごせない時間が増えましたし」
リーグ中の遠征時は、母や義母に子供をあずけた。平日の練習日は、朝、子供を保育園にあずけてから体育館に行き、練習が終わると子供を迎えにいって、夕飯を作り、夜は相手チームの分析をする、というハードな毎日だった。
「やっぱり自分に余裕がなくなるので、『ああ、余裕がないってこういう感じなんだ』と自分が嫌になったりもしました。自分自身に時間をかけることがほぼないので、まあ本当にびっくりするぐらい白髪が出ているのに、美容院に行けなかったりして(笑)
入替戦前も、(美容院に)行きたいのに行けなくて、白髪が伸びたまま、くたびれた人みたいな状態で試合に行ったんですけど、最近になって櫻井(美樹)に、『あの時、テンさん髪ほんとやばかったですよ』と言われました(苦笑)」
歯医者にも、最近になってようやく行けた。「そんなんだったんですよ、ほんとに」と苦笑する。
絶対残留を誓って臨んだ入替戦。
特に入替戦の前は、「どうにかチームを守らなくては」という思いに突き動かされていた。
プロチームであるヴィクトリーナ姫路は、地元の企業を中心としたスポンサーに支えられて成り立っている。現在、スポンサー、後援会を含め支援する企業は350社以上に及ぶ。
しかしV1からV2に降格すれば、スポンサーとの契約、ひいてはチームの経営に影響が出ることは必至だ。
「V1なのかV2なのかで大きく変わってくる。私もスポンサーさまへの営業に一緒に行かせていただいたことがありますし、プロチームとして、お金を動かすためにどれだけの人がどれだけの準備をしているのかという、フロントのこともわかっていたので、残留は絶対に現場が果たさなきゃいけない使命だと思っていました」