ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
ライガー、WWE殿堂入りの理由とは。
かつて馬場とカブキは辞退した!?
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byL/Naoya Sanuki R/AFLO
posted2020/03/19 20:30
WWEの殿堂入りを果たした獣神サンダー・ライガー。過去にはジャイアント馬場らも殿堂入りの候補だっとか。
ジャイアント馬場も辞退したひとり。
そしてアントニオ猪木と並ぶ、日本プロレス界の象徴であるジャイアント馬場もまた、WWE殿堂入りを辞退したひとりだと言われている。
馬場は、'60年代前半にWWEの前身WWWFで大型トップヒールとして活躍。MSGでメインイベントを何度も務めた。さらに時のNWA世界ヘビー級王者バディ・ロジャースとも幾度となくタイトルマッチを行なっている。アメリカでの活躍は、猪木を大きく上回っているのだ。
しかし、なぜ馬場はWWE殿堂入りをはたしていないのか。以前、高山善廣にインタビューした際、興味深い話を聞かせてくれた。
「これは“噂”で聞いた話ですけど、猪木さんがWWEの殿堂入りしたとき、じつは馬場さんも同時に殿堂入りするはずだったらしいんですよ。でも、“どなたか”が『なぜ猪木と一緒なの?』って、なったらしいんです。猪木さんよりずっと前に、MSGのメインイベンターだった馬場さんが、猪木さんと同時とか、猪木さんより後に表彰というのは受け入れられない。だから、だから、お断りした……という噂です(笑)」
高山は全日本プロレス所属時代、ジャイアント馬場にかわいがられたことで知られ、また'04年にはWWEからオファーがあり入団が内定。その時は、脳梗塞を発症したため実現しなかったものの、以降、WWEが日本公演を行うたびにリングサイドに招待されるなど友好関係を続けている。その高山の発言だけに、信ぴょう性は高いと言える。
かつて“ON”がそうであったように……。
つまり、大物であればあるほど、こういった名誉の表彰における順番が重要ということだろう。
プロ野球の長嶋茂雄がなかなか国民栄誉賞を受賞しなかったのは、ライバルである王貞治が受賞者第1号だった関係もあり、よきタイミングがなかったことが理由の1つと言われている。
プロ野球の“ON”がそうであったと同じように、プロレスの“BI”もやはり、そのライバル関係が影響したと考えるのが自然だ。
ジャイアント馬場が亡くなって、すでに21年。馬場元子夫人も一昨年亡くなられた。そろそろ「レガシー部門」としてでも、WWE殿堂入りをはたしてほしいと思っているのは、筆者だけではないはずだ。
そして今回のライガーも含め、日本人レスラーたちの功績が世界のプロレスファンに知られるようになってくれることを願いたい。