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コロナで延期&中止、賞金はゼロ。
世界を旅するテニス選手に大打撃。
text by
内田暁Akatsuki Uchida
photograph byGetty Images
posted2020/03/13 20:00
BNPパリバオープンだけでなく、今後6週間のATPツアーが中止に。新型コロナ禍はテニス界全体にも大きな影響を及ぼしている。
手にできるはずの賞金もなくなり。
BNPパリバオープンの中止が決まると同時に、選手たちの耳には、様々な情報や飛語が飛び込んできた。
同大会は、9月以降に延期されるらしいこと。
4~6月に欧州で行われる大会も、ATPとWTAは中止を検討していること。
翌週にメキシコやアリゾナで開催される男女の大会が、行き場を失った選手の救済措置として、出場枠を増やし緊急エントリーを受け付けるとの話もある。
ただどれも噂の域は出ず、正式な発表はなかなかない。手にできるはずの賞金がなくなったことも、当然ながら不安を掻き立てる。
ランキングポイントはどうなる?
さらなる大きな悩みの種が、ランキングポイントがどうなるか判然としないことだった。
テニス選手は、大会のグレードと戦績に応じて定められたポイントを獲得し、その累積によってランキングが決まっていく。
ただポイントは獲得の1年後に消失。今後もその大原則に則って、大会が次々にキャンセルされてもポイントは失効していくのか? それとも、一定の期間は凍結されるのか?
とりわけ今年は、6月8日時点のランキングがオリンピック出場権を規定することも、心が泡立つ要因となる。不確定要素が山積みのなか、日比野は「次の試合があるのかないのか分からず、気持ちをどう保って良いのか分からないのが辛い」と言った。
かくして全てが不透明なまま、事態は米国時間の3月11日に急展開を見せる。世界保健機関(WHO)が発した「パンデミック宣言」に伴い、米国は一部を除く欧州国からの外国人の入国を、向こう30日間禁ずると発表したのだ。