濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
デスマッチ選手が救急搬送も……。
米団体GCW“狂気の宴”に喝采やまず!
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byYumi Murakami
posted2020/02/06 19:00
レフェリーストップに終わった竹田誠志とオリン ・バイドのデスマッチ。蛍光灯にハサミと“いつもの竹田の試合”だったのだが。
夢を叶えたアメリカ人レスラーたちの気合い。
“Show must go on.”
GCW日本大会は2日目、3日目も開催された。もちろんデスマッチも組まれた。
なにしろクレイジーな選手にクレイジーなファンしかいない興行だ。ネットで何か言われて生きがいを捨てるような神経は持ち合わせていないのだった。「あくまでいつも通りです」と裏方業務を取り仕切った佐々木貴(FREEDOMS代表取締役)は言う。
2日目のメインでは伊東竜二が巨漢マット・トレモントとアメリカンスタイルの殴り合いを披露した。3日目のベストバウトはアブドーラ・小林vs.シュラック。大日本プロレスのデスマッチヘビー級王者は、全身入れ墨のシュラックと蛍光灯をぶつけ合い、フォークで刺し合った。勝った小林は「一緒にコメントしよう」とシュラックを誘い、肩を組んで言った。
「アメリカにもいたね、逸材が。今日はもう直球だけ。伊良部vs.清原みたいなもんだ」
シュラックもトレモントも「日本のレジェンドと闘えるなんて最高だ!」とカメラに叫んだ。
通常ルールの試合で参戦した入江茂弘は、GCW勢について「ハングリー精神が凄い。ここで売れてやろうっていう気持ちを感じますね」と言う。大仁田厚や松永光弘、葛西純に伊東、小林は彼らの憧れであり、日本で試合をすることが夢だったのだ。気合いが入らないわけがない。血だらけの男を見続けた3日間。残った感覚は清々しさだった。
“竹田エイド”についても書いておこう。大日本とFREEDOMSはDVD販売、ドリュー・パーカーとGCWの選手たちはファンとの撮影会の売り上げを、しばらく試合ができない竹田に贈った。
プロレスは、デスマッチは、そういう世界でもあるのだ。