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国境を越えたノーロープの世界。
鈴木みのるとモクスリーの奇妙な縁。 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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photograph byEssei Hara

posted2020/02/05 11:30

国境を越えたノーロープの世界。鈴木みのるとモクスリーの奇妙な縁。<Number Web> photograph by Essei Hara

「キング・オブ・プロレス」「キング・オブ・デスマッチ」は誰か決着をつけるべく戦う鈴木みのるとジョン・モクスリー。

モクスリーは日本のプロレス文化に憧れた。

 止めようがない2人の戦闘は始まってしまった。

 一方で、何かが起こるかもしれないと思っていた札幌でのオカダ・カズチカとのタッグチームでは、モクスリーがオカダとの複雑な連係技まで披露してみせた。そこまでのアピールが必要だったかどうかは疑問だが、モクスリーがただの無法者ではないことを日本のファンに少しは証明したことにはなる。

 モクスリーは若き日に、日本のプロレス文化に影響されたという。そして、その夢を果たしてプロレスラーになった。しかも、WWEでトップまで経験している。でも……新日本プロレスやFMWという、彼が幼い時に見たルーツともいえる日本のプロレス文化の記憶が、この「いかれた野郎」の脳裏に今でもしっかりと刻まれているというわけだ。

日米の暴れん坊が新しいプロレスの時代を作る!

 売れっ子のモクスリーは忙しい。2月29日にシカゴで行われる「AEW」のPPV大会である「Revolution」のメインイベントでは、クリス・ジェリコの持つAEW世界ヘビー級王座に挑戦する。

 AEWは現在、ビッグマッチ中心で興行試合数が少ないため所属レスラーの他団体への参戦をそれほど厳しく制限していない。むしろ、団体のプロモーション活動として、ジェリコやモクスリーが新日本を含む他団体のリングに上がっているのだ。

 そういった各団体での試合会場でレスラーたちの予期せぬ出会いが生まれる。

 バーネットが秋に自身の4回目の大会を開けば、そのノーロープのリングで鈴木とモクスリーが対峙することになるかもしれない。そして、ロープがないどころか、国境も団体の枠も取り払われて、鈴木がAEWのリングでモクスリーと対戦する可能性さえ……十分に感じられるのだ。

 そんな鈴木にとっては、モクスリーの持つUS王座に挑む2月9日の大阪城での戦いは、まだまだ序章と言った感じかもしれない。

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