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大久保洋吉厩舎の厚い友情は今も。
吉田豊と高橋師が狙うクラシック。
posted2020/01/24 19:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
1月19日、中山競馬場で京成杯(GIII)が行われた。3歳馬による中山競馬場の芝2000メートル戦は皐月賞(GI)と同じ。このクラシックにつながる一戦を制したのはクリスタルブラック(牡3歳、美浦・高橋文雅厩舎)だった。
1番人気に推されたのはスカイグルーヴ(牝3歳、美浦・木村哲也厩舎)。父エピファネイア、母の父がキングカメハメハで、母系はアドマイヤグルーヴからエアグルーヴ、ダイナカールへと続く超良血馬である。
昨年の11月3日、東京競馬場の芝2000メートルでデビューすると、持ったまま2着に5馬身の差をつけて大楽勝。破った10頭がその後、1月17日までの時点でただの1頭も勝ち上がっていないなど、不安点がないわけではなかったが、勝ちっぷりがあまりに鮮やかだった事もあり、単勝は2.1倍。2番人気のヒュッゲが5.6倍だから高い支持を受けていた事がよく分かる。
クリストフ・ルメール騎手を背にすんなりと先行し、4コーナーでは持ったままの手応えで先頭に躍り出た。堂々と直線へ向いた時には2着にどれだけの差をつけるか? と思われたが、1頭だけ彼女にしのび寄る伏兵馬がいた。
そして、エピファネイア産駒のスカイグルーヴを、最後に差し切ったのがキズナ産駒のクリスタルブラックだった。単勝は20.9倍のダークホースだった。
クリスタルブラックは昨年12月15日、中山競馬場の芝1800メートルの新馬戦でデビュー。先行馬が絶対的に有利な傾向にあるこの舞台で後方から追い込んで勝利していた。
「豊で勝ててよかったです」
この優勝劇に誰よりも嬉しそうな表情を披露したのが指揮官である高橋文雅調教師だ。
「豊で勝てて良かったです」
高橋文調教師が“豊”と語ったのはクリスタルブラックの手綱を取った吉田豊騎手の事。高橋文調教師とは兄弟弟子の関係にあった。
同師がトレセン入りしたのは2000年。美浦・大久保洋吉厩舎でそのキャリアをスタートし、その時、先輩として厩舎に在籍していたのが吉田豊騎手だった。