「僕は僕らしくあればいい」

　結果は、全日本選手権4連覇。しかも2つの試練を乗り越えての優勝は、大きな意味があった。

「今季いろいろあって、元のコーチから離れ、自分が思っていた以上にその影響がありました。試合も練習も辛い時期が続きました。ステファンコーチのもとで練習するようになって、スケートの楽しさを改めて知ることになりました。

　そして僕はゆづ君のように強くあることはできないけど、僕は僕らしくあればいい。アスリートとしての自覚がないと言われるかも知れないけれど、やっぱり僕は、スケートを楽しむ気持ちで試合に臨みたいです」

　1月6日、正式なコーチの発表と共に、四大陸選手権の辞退を発表した。

　今までのように、むやみに多くの試合に出ることはしない。試合数が少ない不安は、コーチが受け止めてくれる。

　白いアルプスに囲まれながら、初めて欧州での冬を過ごしている。さなぎが冬を越えて羽化するように、3月の世界選手権にむけて、ゆっくりとスケートを楽しむ心を温めている。