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“挑戦的辞退”で世界選手権に集中。
宇野昌磨、ランビエルと新局面へ。
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAsami Enomoto
posted2020/01/10 11:50
全日本選手権ではショートで105.71点とISU非公認ながら自己ベストを更新、続くフリーも184.86点をマークし合計290.57点で4連覇を達成。
全日本選手権の直前に、来季のための練習。
そして、ランビエルの妙技ともいえたのが12月の全日本選手権に向けての日々だった。絶不調の宇野に対して、今季のうちに結果を出させようとしなかったのだ。
「ステファンのもとでは、1人では出来ない練習をしました。来季に向けて、いったん止めていた4回転ループも毎日練習しました。
4回転サルコウも今季は調子が上がらずに抜いていましたが、練習ではやりました。来季に向けて、4回転4種類の構成で出来るように、今のうちから練習してきました」
全日本選手権の直前だというのに、来季のための練習をする。
そんな大きな視点で見守ってくれる環境のなか、ただひたすらスケートの楽しさを取り戻そうとした。それが、宇野の心をやわらかく解きほぐし、そして師弟の絆が生まれた。
あどけない笑顔を取り戻していた。
12月18日、全日本選手権の事前練習に現れた宇野は、あどけない笑顔を取り戻していた。
インタビューでは、1月から正式にランビエルに師事することをうっかり漏らしてしまったほど、気持ちは一体となっていた。
「すごく温かいところ。スイスは島田高志郎君やデニス・バシリエフス君もいて、一生懸命スケートに向き合っています。厳しい練習というよりも、やることはやるけど、優しさがある。僕が求めていた環境です」
そして迎えた全日本選手権のショート。4回転フリップ、トウループともに降りる快心の演技で2位発進を決める。フリーも今季の自己ベストとなる演技で、総合290点台に乗せた。演技後、満面の笑みでランビエルと抱き合った。
「ステファンは日頃の練習で、やっと自分にスケートを楽しむ練習に戻してくれたかけがえのない存在です。このコーチのために、一緒に戦って行きたいという気持ちになりました」