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衰え知らずの怪物レバンドフスキ。
ブンデス通算得点歴代3位の凄み。
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2020/01/06 10:30
ブンデスでコンスタントにネットを揺らし続けるレバンドフスキ。世界No.1のセンターフォワードの座に君臨し続けている。
レバンドフスキだけ、ではダメ。
個々の能力が高いバイエルンは、どんな試合でもある程度はチャンスを作り出せていたが、正直で単発な攻撃が多い。最終的にレバンドフスキの個の力に頼らざるをえない展開でもゴールを量産してきたのだから、さすがの一言に尽きる。
とはいえ、より上のレベルでは十分ではない。CLベスト4以上が目標なら、大事なのはレバンドフスキだけが頑張っていてもだめだということだ。
どれだけ有能な選手でも、毎試合心身ともにトップコンディションで臨むのは難しい。アップのときは全く問題がなくても、試合が始まるといつもと違う感触になることもある。そして、どんな試合でも貪欲にゴールを狙うが、どの試合でも得点を決められるわけではない。
開幕からの連続ゴールが止まったデュッセルドルフ戦後には「記録はいつか必ず止まる。ときにはブレーキを掛けることも大事だったりするんだ。そこからまたギアを入れて走り出すためにね」と次の目標に向けて気持ちをすぐに切り替えていた。
「若い世代の選手はSNSが……」
だからこそ「レバンドフスキがゴールを取れないとバイエルンは怖くない」というのが定説になっているのは問題だ。
1試合でも点が取れないだけで「不振か?」と書かれてしまうし、3試合取れないと「危機的状況!」である。
わずかな隙を見つけてシュートに持ち込むシーンは作りだすが、それでも様々なプレッシャーやストレスを常に受けるし、すべてを予測できるわけではない。少しのコントロールミス、相手GKの好セーブなどで微妙なずれが生じ、ゴールを決められない試合もある。
そんなときは、周りの選手が得点できるかどうかが重要なポイントになる。フリックは監督就任直後に「マヌエル・ノイアーとレビィ(レバンドフスキ)だけではなく、ほかの選手の爆発にも期待している。ワールドクラスの選手が2人では少なすぎる」と南ドイツ新聞に語ったことがある。
レバンドフスキ自身も、若手選手にはもっと発奮し、責任感を持ってプレーすることを要求している。
「自分から指示を出す選手が少ない。若い世代の選手は話すことに不安があったり、そもそも話したくなかったりするのかもしれない。SNSでのやり取りがコミュニケーションになっているようにも感じる。まったく別の文化なのかもしれない。若い選手がちょっとのところで足を踏み出せないことや、言葉で問題を抱えていたりするところも理解できる。でも、2、3カ月も一緒にプレーすれば、そうした言葉を出すことはできるはずだ」