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衰え知らずの怪物レバンドフスキ。
ブンデス通算得点歴代3位の凄み。
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2020/01/06 10:30
ブンデスでコンスタントにネットを揺らし続けるレバンドフスキ。世界No.1のセンターフォワードの座に君臨し続けている。
フィジカル、ゲームメイクも長ける。
それに加えて、フィジカル能力に長けている。
相手守備の激しいマークを受けてもびくともせず、それでいてなめらかな身のこなしでスルリといなすことができる。長谷部誠と鎌田大地が所属するフランクフルトとのリーグ戦では1-5と大敗したが、唯一のゴールを決めたのがレバンドフスキだった。
前半にDFジェローム・ボアテンクの退場で数的不利となり、前線で孤立無援の状況となりながらも、相手守備をごぼう抜きして難易度の高いゴールを決めてみせた。長谷部も「10人になってからも、決めるべきところではしっかり決めてくる」と、その得点能力のすごさを改めて認めていた。
ゴール前の動きだけではなく、ゲームコントロールに関与する能力も高い。シュートチャンスを生み出すための行程からプレーに関われるのだ。
4-3-3を基盤とするフリック監督のバイエルンでは、自分たちでボールを持っているときにインサイドハーフの位置に下がってボールを受けるのではなく、高い位置でボールが運ばれてくるのを待つ。攻撃を組み立てるビルドアップの段階では、4バックとアンカーの選手がパスを展開し、ボールを高い位置に運ぶ局面を作り出すわけだが、その中でレバンドフスキはタイミングよく中盤のスペースに顔を出して、縦パスを引き出す役割を担っていく。
誰もが彼の動き出しをサポート。
レバンドフスキの動き出しを、バイエルンの選手は常に視野に入れるようにしている。
例えば、最近CBでプレーするダビド・アラバからレバンドフスキへの縦パスは頻繁で、その近くではトーマス・ミュラーやレオン・ゴレツカ、フィリペ・コウチーニョ、チアゴといった選手たちが常にサポートの位置につけている。だから、攻撃がどんどんつながる。
ゴール前で待つだけではなく、試合の状況に合わせていろいろなところに顔を出しては、それぞれの局面で数的有利を作り出すことができるというわけだ。
レバンドフスキが持ち場を離れているときでも、いまのバイエルンはほかの選手がどんどんエリア内に入り込むので、相手守備は守りどころを定められず振り回されてしまう。そして、ほかの選手がチャンスを作れているときにはゴール前で得点機をじっと待つ。
昨シーズンは、そのあたりの役割分担で苦しんでいた。
ビルドアップで相手守備の最初のラインを越えられない。中盤の選手はボールを欲しがって寄っていくのでマーカーの背中を取れないし、取れる位置へとボールを運べない。時折CBから縦パスが入ることもあったが、孤立しているために相手に囲まれて結局ボールを下げざるを得ないことが多かった。