猛牛のささやきBACK NUMBER
若手投手が優秀すぎるオリックス。
2020年は野手育成で上位を狙う。
posted2019/12/30 11:40
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Kyodo News
第5回はパ・リーグ最下位に沈んだオリックス・バファローズ。優秀な若手投手がそろうだけに、野手の奮起に期待が懸かる。
今年11月に行われたプレミア12を見て、「最下位のオリックスにこんなにいいピッチャーがいたのか」と思った人もいたのではないだろうか。
8回を任された、侍ジャパン最年少21歳の山本由伸は、力感のないフォームから、150kmを優に超えるストレートを投げ、140km台後半のフォークで海外の打者を手玉に取った。
山岡泰輔も、失点はしたものの、小柄な体を無駄なく使った美しいフォームからキレのあるボールを投げ込んだ。
日本代表だけではない。台湾代表として出場した張奕は、2試合に先発し計13回2/3を無失点に抑えて2勝を挙げ、先発投手部門のベストナインに選ばれた。アメリカ代表として出場したブランドン・ディクソンも、リリーフ投手部門のベストナインに選出された。
それは何も不思議なことではなく、実際、2019年のオリックス投手陣には明るい材料が多かった。
最優秀防御率、最高勝率が揃う投手陣。
2018年にリリーフで54試合に登板した山本は、今年先発に再転向し、防御率1.95で最優秀防御率のタイトルを獲得。今年の開幕投手を務めた山岡は、13勝4敗で最高勝率に輝いた。
他にも、10試合連続でクオリティスタートを記録した榊原翼や、怪我から復帰した左腕・田嶋大樹、初勝利を挙げたK-鈴木、8回を任された澤田圭佑、育成契約からシーズン中に支配下登録となった張や神戸文也など、球に威力のある若い投手が続々と一軍で活躍した。
ファームを見ても、力のある投手が非常に多い。来年は、3年目を迎える本田仁海なども活躍が期待できそうだ。投手陣に関しては、ここ数年、スカウトと育成がうまくいっていると言える。
にも関わらず、チームは最下位に終わった。リーグ優勝からは、12球団で最も長い23年間遠ざかっており、2014年を最後にAクラス入りすら果たせていない。