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<ONE TEAMの魂>
リーチマイケル「日本スタイルを貫いて」
posted2019/12/26 08:00
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by
Atsushi Kondo
大音量の「リーチ」コールにスタジアムが揺れたW杯は、一時の興奮に留まらず、社会現象をもたらした。団結の力を信じ抜き、走り続けた大黒柱が語る、激闘の日々と、この国のラグビーが進むべき道。(Number993・994号掲載)
春を思わせる温かい日差しが注ぐ東京都心・丸の内の仲通りを、逞しいスーツ姿の男たちは、隊列を組んで進んだ。
フェンスの外には数え切れない人また人。通りに面したオフィスビルやサロンの窓には、赤白の日本代表ジャージーを着こんだ集団がはりついていた。「感動をありがとう」「ONE TEAM」などの文字を書き込んだ手書きのメッセージボード。パレードにかけつけた人数は主催者発表で5万人。拍手と歓声と憧れの視線が降り注ぐ中を、日本代表のW杯戦士たちはゆっくりと歩いた。ケヤキ並木から黄金色の葉が紙吹雪となって降り注ぎ、日差しを受けて煌めく。
800mのパレードを、先頭で歩き終えたリーチマイケルが口を開いた。
「今日は想像以上にたくさん、すごい数の人が集まってくれて、びっくりしています」
プール戦4戦全勝。初のベスト8進出。日本ラグビーにとって空前の好成績を残したW杯が閉幕してから1カ月半。心身の疲れを癒やす母国ニュージーランド(NZ)での休息から、パレードのために弾丸日程で一時帰国したリーチには、目が回るようなスケジュールが組まれていた。スポンサーへの挨拶、撮影、パレード、像の贈呈式、表彰式……分刻みの日程の中、撮影やイベントの合間に、リーチの肉声を聞いた。