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ホークスの“笑わない男”長谷川勇也。
年俸減も「技術が僕を守ってくれた」。 

text by

田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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photograph byKyodo News

posted2019/12/18 20:00

ホークスの“笑わない男”長谷川勇也。年俸減も「技術が僕を守ってくれた」。<Number Web> photograph by Kyodo News

西武とのCSファイナル第1戦、代打での同点打を「今季の集大成だった」と長谷川は振り返る。

初対面の相手に、1球で適応。

 だけど――、長谷川が言葉を継ぐ。

「自分の打撃がそれをさせてくれなかった。もういいや、と思ったけど凄い打撃が出来ていた。今までの積み重ねですね。技術が僕を守ってくれました」

 今シーズンの中で長谷川自身が最も印象に残っているのが、クライマックスシリーズ・ファイナルの第1戦だという。

 1点ビハインドの8回表2アウト一、三塁の場面に、球場中が驚いた内川聖一の代打で登場。西武4番手の平良海馬から2ボール2ストライクからの直球を左前へと落とす適時打を放ち、試合を振り出しに戻したのだった。

「(内川の代打で特別なシーンだったから? の問いに)いやいやいや。自分の中で今シーズンの集大成だという気持ちだった。ピッチャーが初対戦で、クイックが早かった。正直タイミングを合わせるのが難しい投手だった。でも、2球目からはタイミングを合わせることが出来ていました。今年やってきたことを結果として残すことが出来た打席でした」

バッティングが体に染みついている。

 また、オフになっても長谷川の凄みを見せつけられた。

 11月24日にヤフオクドームで開催されたファンフェスティバルでのホームランダービーに登場すると、2分間で出場選手トップの8発のアーチを外野スタンドに架けた。

「日本シリーズが終わってから一度もバットを握っていませんでした。それだけ体に染みついているんです。若い頃は足し算で練習していました。こうなるためには、もっとこうしないと、あれをやらないとって。

 今はアレコレやるんじゃない。引き算ですね。無駄なものを省いていく。その中で思いっきり振れる方法を自分の中で作っておくんです」

 この言葉の上辺だけを受け止めると効率のいい練習をしているのかと考えがちだが、バットを振る量は若手にも負けていない。今年2月のキャンプでも1日1000スイングを自身に課して、屋内練習場で1人で黙々と打ち込んでいた。

【次ページ】 長谷川はバットで快音を奏でる。

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