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最強タッグの名に相応しい“夫婦”!?
若手に抗う諏訪魔&石川修司の壁。
posted2019/12/12 18:00
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
タッグマッチらしい優勝決定戦だった。
12月9日、後楽園ホールで全日本プロレスの「世界最強タッグ決定リーグ」最終戦が行われた。結果、リーグ戦終了時点で2チームが6勝3敗、勝ち点12で首位に並んだ。
そして優勝決定戦として、野村直矢&ジェイク・リー組vs.諏訪魔&石川修司組が行われた。
その試合は「大型タッグの激突」という昔からの全日本プロレスのスタイルをそのまま体現するような戦いだった。試合場こそ蔵前国技館や日本武道館といった大会場から、今では後楽園ホールというこじんまりした場所に移ったが、冬の風物詩の試合内容は、ファンをうならせるものだった。
26歳&30歳vs.43歳&44歳の戦い。
野村(26歳)とリー(30歳)の若いタッグチームはシングルでは互いにシノギを削るライバルだが、初優勝を目標に見事なタッグの連係を見せていた。キックとスピアー・タックルの合体技などで、ベテランの諏訪魔(43歳)・石川組(44歳)を追い詰めたが、どうしても体とパワーでは彼らを上回ることはできなかった。
石川の強烈な胃袋破りや顔面へのヒザ、さらには諏訪間のバックドロップ、そして2人の同時パワーボムが、野村とリーのスタミナを奪っていった。
この日のセミファイナル(第6試合)で行われた公式戦で、宮原健斗・青柳優馬組と17分28秒を戦った後の野村・リー組は、メインイベントでTAJIRI・KAI組を相手に2分24秒しか戦わなかった諏訪魔・石川組とはスタミナ的にハンディを負っていたのも事実だ。だからこそ、「若さ」というベテランには無い特長を最大限に生かして戦うしかなかったのだ。