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獨協大初のプロ野球選手になる?
スカウトも驚く並木秀尊の「足」。
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byYu Takagi
posted2019/12/05 11:50
大学代表選考合宿でひと際、輝いていた並木の足。成長を続けてきた大学生活のラストシーズンでどんな飛躍を見せるか。
持ち前の身体能力と向上心。
並木は、斎藤雅樹(元巨人投手)らを輩出した埼玉の市立川口(現川口市立)高校から獨協大に進学した。高校最後の夏は県予選3回戦敗退に終わったが、NTT東日本でも指揮を執った経歴を持つ長井秀夫監督(現総監督)のもと古豪復活への道を着実に歩んでいたこともあり、並木の身体能力に注目した複数の大学から声がかかった。だが、両親が教師だった並木は教職課程が取れて、通いやすいという理由で獨協大を選んだ。
大学入学時は卒業後に野球を続けることを第一に考えていなかったが、かねてから光っていた俊足と守備に加え、打撃技術が成長を見せたことで徐々に景色が変わっていた。
高校時代までスイングが弱く、当てにいくような打撃だったが、社会人野球の強豪・日本通運でも内野手として活躍した亀田監督が、しっかりと振り切ることを意識させた。また、並木自身も「打撃は特に早くから通用しないことが分かっていたので深く考えて練習していました」と、どん欲に研究を進めたことで打力は向上していった。
1年秋に代走としてAチーム入りを果たすと、2年春からレギュラーを掴み、3年となった今年は春秋ともに外野手ベストナイン(2部リーグ)を受賞した。
そして、今回の選考合宿。同部マネージャーが編集した並木のアピール映像を亀田監督が選考委員に送ったことで、その潜在能力が認められ、参加に至った。50選手の中で唯一の「2部リーグ所属」だったが、ひとつも臆することはなかった。
50m走でトップ、守備でも存在感。
選考合宿では2日間で計3試合の紅白戦が行われ6打数3安打。すべての安打が大学野球の花形である東京六大学リーグの投手から放ったものだった。
「自信があるので誰にも負けたくない」と話していた俊足も前述の通り、50m走で参加選手の中でトップタイム(一歩目からの手動計測で5.32秒)を計測。盗塁は前の塁に走者が詰まっていたり、試みた際には打者が安打を放つなど、披露する機会に恵まれなかったが、守備では右中間への鋭い当たりに中堅手の定位置から力強く加速して難なく捕球するなど、その俊足が実用的なものであることも見せつけた。