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山口俊「感触はいい」けど大苦戦。
プレミア12、公式球の“落とし穴”。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2019/11/03 11:30
カナダ戦の2回、3点二塁打を許した山口。本番までに変化球の感覚を修正できるか。
思った以上にボールが変化する。
「真っ直ぐはカットしたりシュート気味になったりしますが、変化球はいつもより感触がいい」
日本シリーズを終えて代表チームに合流したのが、カナダ戦の3日前の10月28日。早速、ブルペンで試合球を投げた感触を山口はこう語った。
松田も評したように手になじみ投げやすい。その感触の良さが逆に落とし穴だったのかもしれない。
NPB公式球より微妙に小さいプレミアの公式球は変化が大きいというのが投手陣の一致した感触だ。その分だけ普段と同じ感覚で投げると曲がりも早いし思った以上にボールが変化する。
その曲がりの感覚が投手の1つの生命線だけに、そこに微妙なズレが生まれればこの日のようなピッチングとなる危険性も十分にあるということだ。
感覚の修正がポイント。
「もう少しフォークの精度を上げないといけないと思います」
試合後の山口のコメントだ。
「低めのボール球を全部見極められてしまっていた。どの高さなら振ってくれるのかとか、その辺をもう少しこちらが見極めていかないといけないと思います」
気持ちよく投げすぎるといつもより早く変化して、大きく落ちる。その感覚をどう試合までにつかめるか。初戦の2番手で投げた田口麗斗投手(巨人)などもスライダーの変化の違いに戸惑いを見せるなど、その辺の修正が投手陣にとっては1つのポイントになるようである。
逆に2戦目に先発した今永昇太投手(DeNA)は「ブルペンでは酷かった」と語ったが、それでもマウンドではカーブを多めに使って腕の振りを修正。結果として右打者の外角への制球を取り戻して、3回を1安打6奪三振の好投へとつなげたのがお手本となりそうだ。
初戦のあった10月31日の那覇の湿度は70%を超えて南国特有の蒸し暑く湿った空気が肌にまとわりつくような天気だった。
「何で(柵越えまで)いかないのかなという感じはありましたけど、ボールが飛ばないのには風だけじゃなく湿気とかそういうことも影響していると思う」
これは4回の二塁打を振り返った吉田のコメントである。