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山口俊「感触はいい」けど大苦戦。
プレミア12、公式球の“落とし穴”。
posted2019/11/03 11:30
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
KYODO
もし足をすくわれるとしたら……。
稲葉篤紀監督が率いる侍ジャパンが世界一奪回を掲げて挑む国際大会「プレミア12」は11月2日から台湾などで開幕する。その最終チェックとなるカナダ代表との強化試合が、10月31日、11月1日の2日にわたり代表の最終合宿地・沖縄のセルラースタジアム那覇で行われた。
2試合を1勝1敗という成績で終えた侍ジャパンだが、課題が浮き彫りになったのは、5対6の1点差で敗れた第1戦だった。
この試合は先発の山口俊投手(巨人)が2回に4安打4四球を集中されて6失点。打線もカナダ先発で2m1cmの長身右腕フィリップ・オーモン投手を打ちあぐねて3回まで1安打。その後はカナダの拙守がいくつも飛び出して追いすがったが、結局1点が及ばずの黒星となった。
先発が打たれて先制点を奪われ、打線も何となく抑え込まれてじりじりと追いかける展開で回が進んでいく。そうして終わってみれば1、2点が届かずにやられてしまう。これは野球の番狂わせが起こる典型的なパターンだが、世界ランク1位の日本が同10位のカナダに、まさにこのパターンで足をすくわれた訳である。
本番でも決してないことではない。そう思える危険な負け方だった。
大会で使われるボールへの対応。
「色々なことがこの2試合で出てくれた方が修正点は見えてくる」
こう語ったのは第1戦後の稲葉監督だ。
その1つとしてあげられるのが大会で使われるボールへの対応だった。
今大会ではワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で使用されるMLB公式球のローリングス社製ボールではなく、大会主催のWBSC(世界野球ソフトボール連盟)公認球で来年の五輪でも使用される日本のSSK社製の国際球になる。
このSSKの国際球は滑ると言われるローリングス社製のボールに比べれば、しっとりとなめしも利いて手になじみやすいと日本選手の間では概ね好評だ。