ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
石川遼が11年前の日本オープン回想。
「ドライバーが上手かった(笑)」
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYoichi Katsuragawa
posted2019/10/16 11:30
11年前と同じ福岡県の古賀ゴルフ・クラブで開催される日本オープン。大会史上最高額の賞金総額2億1000万円、長期シード(5年間)がかかる大一番である。
「あの頃はドライバーが上手かった(笑)」
「それにしても、あの頃はドライバーが上手かったと思いますよ(笑)。ゴルフ人生で、ドライバーにまったく悩まなかった時期だった」
彼の持ち味は今も、ウェッジショットやパッティングだと思う。ただ、そこに至るまでのドライバーショットは組み立ての中心で、スコアメークのバロメーターにもなってきた。
そんな“永遠の課題”において石川は今季、ドライビングディスタンス部門で4位(平均307.97ヤード)につけている。これは2010年の最終成績3位(296.79ヤード)に次ぐもの。昨年は22位(289.35ヤード)でキャリアワーストだったのだから、鮮やかな様変わりだ。「ドライバーでこんなパフォーマンスが出せているのは、プロ1年目、2年目以来かなと思う」という実感。それは単純な数字以上の感触を伴ったものでもある。
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「2年目くらいまでは、打てば真っすぐ行った。どう打っているかも分からなかった(笑)。でも今は、3ヤード左に飛んだ理由、5ヤード右に曲がった原因が分かる。また悪くなるかもしれないけれど、次にそうなりかけたときに戻せる引き出しをより多く持っている気がする」。様々な試行錯誤を重ねてきたが、ある日突然に究極の打法が閃いたとか、視界がいきなり明るくなるメソッドを開発したとかいう類の話で、たどり着いた境地ではない。
それもすべて、「ぐんと悩んで今がある」からだ。
「良い経験も悪い経験も、練習もしてきたから。その体験から学べている」
9月に28歳になった石川は、過ごした11年に少し胸を張った。
選手キャリアが長いゴルフの魅力。
古賀GCのティエリアで今年、以前のようにドライバーだけを振り回すマネジメントはおそらくない。あの頃は未熟だった2番アイアン、3番アイアンも多用するだろう。成長か、あるいは衰退も含めた変化はクラブチョイスだけでも見て取れる。
ゴルフというスポーツの、とりわけ男子プロの魅力のひとつが、他競技に比してキャリアが長いことだ。都度、一瞬が長編ストーリーの1ページ。
日本オープンは再び、次の11年、もっと先を見据えたターニングポイントといえる4日間になるだろうか。
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