ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
ヤングライオン時代が蘇った佐渡島。
小杉俊二も認めたライガーの30年。
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byGantz Horie
posted2019/09/25 11:00
小杉俊二から花束を受け取ったライガー。「今でも背筋が伸びる」という先輩と再会を果たし、残りのレスラー人生にラストスパートをかける。
また、ずいぶん小せえのが来たな。
「対戦できてよかった」その思いは、小杉もまた同じだった。ZERO1佐渡大会翌日、小杉が島内で営む酒屋を訪れ話を聞くと、佐渡弁でなつかしそうに、当時のことを話してくれた。
「あいつが入門するまで、新日本の道場では俺がいちばん小さかったんです。だから、あいつが入ってきたときは、『また、ずいぶん小せえのが来たな』っていう印象。当時、俺は『身体が大きねえけりゃ、この世界通じんもんや』と思っとったんです。でも、あれが来て、1年2年経って、そればっかりじゃねえなって。身体の大きさだけじぇねえってことを、あれに教わった。
あいつの心の強さも普段の練習から感じていたし。練習以外ではおちゃらけて怒られたりもしてたんだけど、芯はしっかりしとるというか、『今に見とれ』という気持ちが、すごく見えた。みんなが休んどるときでも必ず練習しとったしね。そうしているうちに、一緒に練習しながら認め合うというか。俺はあれのいいとこを盗ませてもらいてえななんて、そんな気もありながら、練習させてもろうたんですけどね。
ヤングライオン杯決勝もあいつとやれてよかった。ガンガン来るし、センスはあるし、あれとは手が合うから。あの試合、彼のキャリアにとってはほんの始まりの1試合にすぎんかもしれんけど、8年間しかやっとらん俺にとってはあれがすべて。その相手があいつで良かったと思う。30年以上第一線で続けるいうのは、ほんまにすごいことやと思いますよ」
ZERO1佐渡大会後の打ち上げで、小杉と20数年ぶりに一緒にお酒を飲んだライガーは、大いにはしゃぎ、大いに酔っ払ったという。その夜だけは若手時代の気持ちに戻り、ふたたび新日本のシリーズに戻ったライガー。
残り3カ月、全国の会場で、昔と変わらぬ全力ファイトを見せてくれることだろう。