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13年ぶりバスケW杯制したスペイン。
原動力は“レガシー”を伝えること。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2019/09/19 11:00
NBAでもプレーする選手を擁するスペイン。2006年以来、2度目の世界王者に輝いた。
次の世代に引き継ぐためのW杯。
2009年から12年、そして2015年から現在までスペイン代表を率いてきたイタリア人コーチのセルジオ・スカリオロHCは言う。
「勝つことで、さらに勝ち続けることができるようになる。大会で準々決勝、準決勝、決勝を戦えば、勝ち方がわかるようになる。そういった試合を多く経験してきた選手たちが5、6人いる。彼らがすばらしいリーダーとなってやってきた」
それこそが、自分が黄金世代から学び、次の世代に引き継がなくてはいけないことなのだと、ガソルは言う。だからこそ、トロント・ラプターズの一員として6月まで戦い、念願のNBA優勝を果たしたとき、それだけで満足せず、迷うことなく代表として戦った。
「この夏に代表に参加することは、肉体的には簡単ではなかった。でも、それだけの価値があることだ。代表活動に対する思いを伝えていくことはそれだけ大事なことなんだ。そういった価値観は何年もの間、僕より年配の選手たちにとっても重要なことだった。今は僕らが、そういったレガシーを次の世代に伝える番だ。才能ではなく、コミットメント、思いの強さなんだ」
混沌のなかを勝ち抜き、再び世界の頂点に立ったスペイン――。その秘訣は、世代を超えて受け継がれた勝者のハートだった。