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13年ぶりバスケW杯制したスペイン。
原動力は“レガシー”を伝えること。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2019/09/19 11:00
NBAでもプレーする選手を擁するスペイン。2006年以来、2度目の世界王者に輝いた。
「これがバスケットボールだ」
試合開始直後から7連続得点でリードを取ったスペインは、2Q開始早々にリードを二桁に広げると、試合の流れを支配。アルゼンチンも何度か追い上げを試みたが、スペインのディフェンス相手に苦戦し、サイズでゴール下を制され、後半は点差が一桁になることもないまま、95-75で試合終了を迎えた。
セルビア、フランスという強敵を次々と倒して勝ち上がりながら、優勝を前に敗れたアルゼンチンのセルヒオ・エルナンデスHCは、試合後、疲労やサイズ不足といった言い訳をきっぱり否定し、「これがバスケットボールだ」と言った。
「相手のチームよりいい試合を戦えば勝つ。きょうのスペインはベストチームだった」
“強いスペイン”の基準。
優勝後のミックスゾーンで、マルク・ガソルは「これ以上ないほど完璧なディフェンスだったのではないか」との称賛に対して、「2~3分ほどはとてもいいディフェンスができていたと思う。終盤に彼らのペースでやられ、早いテンポの試合をされてしまったけれど」と、まるで自画自賛したら、胸にかけたメダルが消えてしまうかのような、真面目なコメントで応えた。勝っても負けても、真摯に試合に向かう。それは、彼の一番の才能かもしれない。
決勝で20点、3アシスト、7リバウンドをあげ、大会通して平均16.4点、6.0アシストでチームを牽引し、大会MVPを受賞したルビオは、チームの強さの鍵を、こう語った。
「僕らは最も才能あるチームではなかったし、一番大きなチームでもなかった。でも、どのチームよりも大きなハートを持っていた。今夜も、そして大会を通してずっと、それを見せてきた」
ガソルは今のチームについて、「以前のように経験豊富な選手が10人、12人いるわけではない」と、黄金世代のチームと比較した。
「でも、みんながチームを助けようという気持ちで戦っていた」
決勝で活躍したウィリーとフアンチョのエルナンゴメス兄弟ら、次の世代の若手も伸びてきている。黄金世代を見て育ってきた彼らにとって、“強いスペイン”が基準であり、当たり前のことになりつつある。