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13年ぶりバスケW杯制したスペイン。
原動力は“レガシー”を伝えること。
posted2019/09/19 11:00
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Getty Images
「このチームは、新しい黄金世代でしょうか?」
9月15日に終わったFIBAワールドカップの大会で、アルゼンチン代表に何度も投げかけられた質問だった。
2002年のインディアナポリス世界選手権で準優勝し、2004年のアテネ五輪で優勝、2008年の北京五輪でも銅メダルだったアルゼンチンは、天才マヌ・ジノビリを中心とする『黄金世代』の選手たちから成るチームで、しばらく世界の強豪であり続けた。
今回は、その『黄金世代』チームの若手だったルイス・スコラが39歳のベテランとして率いる、新しいチームだ。
末っ子たちがリーダーとなって。
同じことは、スペインにも言える。
2006年世界選手権で優勝し、2008年の北京五輪、2012年のロンドン五輪で準優勝、2016年のリオ五輪で銅メダルと、やはり『黄金世代』と呼ばれる選手たちが中心となって、世界のトップを争ってきた。
今回はパウ・ガソルを故障で欠く中、13年前の優勝では末っ子的な存在だったマルク・ガソルがベテランのリーダーとなり、やはり当時を知るルディ・フェルナンデスと共にチームを率い、北京五輪時に17歳の若きホープとして代表デビューしたばかりだったリッキー・ルビオも、ベテラン・ポイントガードとなって活躍した。
ワールドカップ決勝は、そんな両チームの対戦となった。
大会前に優勝候補としてあげられていたセルビアもアメリカも準々決勝で敗れてメダルを取れず、アメリカを倒したフランスは、セルビアを倒したアルゼンチンに破れた。世界は、それだけ混沌としていた。
そして、だからこそ面白く、エキサイティングな大会となった。
もっとも、決勝戦は意外なほどあっけなく決着がついた。