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ラグビーW杯出場20カ国の情報を網羅。
名鑑づくりは“テストの答案返し”。
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph byIchisei Hiramatsu
posted2019/09/18 10:00
日本をはじめ出場20カ国のチーム&選手情報がまとまった別冊付録。対戦日程やテレビ放送のスケジュールも収録している。
オールブラックスも意外な人選。
次はニュージーランド(NZ)代表と南アフリカ代表という2強が揃ったプールB。意外に思えた選出は、NZ代表“オールブラックス”のSHブラッド・ウェバーだ。
これまでオールブラックスはSHの3番手争いが長年の話題だった。
長らく1番手はアーロン・スミス、2番手は追い上げムードのTJ・ペレナラ。果たして3番手は誰になるのか。チーフス(NZ)のタフリオランギか、クルセイダーズ(NZ)のドラモンドか。
かつてチーフスに在籍した3番手のカーバーロは2017年度に渡仏。チーフスでそのカーバーロの影にいたのがウェバーで、10人制大会での大怪我もあり活躍が先延ばしになり、タフリオランギといった若手の追い上げにあっていた。
そんな苦労人が今年、南半球4カ国対抗戦「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」(TRC)のアルゼンチン戦で途中出場。4年ぶりの出場で代表2キャップ目を獲得し、初のW杯出場を掴んだのだ。
我慢を重ねて掴んだW杯スコッド入り。驚きとともに応援したくなる存在の登場だった。
アルゼンチンではスターが揃って落選。
続いては“死の組”プールC。イングランド代表やフランス代表がひしめき混戦も予想されるが、アルゼンチン代表のメンバー選考は意外に映った。
仏スタッドフランセのPRエレーラ、英エクセターのWTBコルデーロ、そして仏トゥーロンのNo.8イサといった、海外を拠点とするスター選手が揃って落選したのだ。
特に豪快な突進力を誇るイサは、今年のTRCにも2試合に先発。メンバー入りは濃厚と思われたが、指揮官のレデスマHCとアルゼンチン協会は国内組を優先。主力のさらなる国外流出に歯止めをかけた格好だ。
代わりに8番先発が予想されるデシオ、4大会目のレギサモンらに期待が掛かる。
今年はアルゼンチン代表候補で構成したジャガーズが、スーパーラグビー参戦4年目で初の決勝進出。次は初優勝という気運さえ高まっており、母国民はプール戦敗退を受け入れられないだろう。もし屈辱を味わえば、今回の選考を疑問視する声が起こりかねない。
海外組を入れておけば――。そんな批判を封じるためにも、“死の組突破”は至上命題だ。