酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
ノーヒットノーランは約0.15%。
91度の投手、捕手、そして球団は?
posted2019/09/18 11:50
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News
プロ野球を観戦していて、5回を過ぎて先発投手が安打を許していないと、球場内がざわざわしてくる。
「もしかして、ノーヒットノーランか?」
その期待がいかに大きいかは、その投手が安打を打たれたときの場内の「ああー!」という声の大きさで分かる。
個人のノーヒットノーランは2019年9月14日の中日・大野雄大で史上81人目、92回目だ。昨年10月26日のCSヤクルト戦では、巨人の菅野智之が記録した。
「結構多いじゃないか」と思うかもしれないが、創設以来のプロ野球の総試合数は6万試合を超えている。ノーヒットノーランを見る確率は約0.15%、極めてレアなのだ。
運がよほどよくなければ、ノーヒットノーラン達成の瞬間に居合わせることはできない。
「運」が必要な点では、当の投手も同様だ。実力があっても、運に恵まれなければノーヒットノーランはできない。
<200勝以上の投手のノーヒットノーランの回数>
400勝 金田正一 2回(うち1回は完全試合)
350勝 米田哲也 0回
320勝 小山正明 0回
317勝 鈴木啓示 2回
310勝 別所毅彦(昭) 1回
303勝 スタルヒン 1回
284勝 山田久志 0回
276勝 稲尾和久 0回
254勝 梶本隆夫 0回
251勝 東尾修 0回
237勝 若林忠志 0回
237勝 野口二郎 0回
224勝 工藤公康 0回
222勝 村山実(昌史) 0回
221勝 皆川睦男(睦雄) 0回
219勝 山本昌広(山本昌) 1回
215勝 杉下茂 1回
215勝 村田兆治 0回
213勝 北別府学 0回
209勝 中尾輝三(碩志) 2回
206勝 江夏豊 1回
203勝 堀内恒夫 1回
201勝 平松政次 0回
200勝 藤本英雄 2回(うち1回は完全試合)
勝利数史上2位、抜群のスタミナで「ガソリンタンク」と言われた米田哲也も、「神様仏様稲尾様」の稲尾和久も、「サンデー兆治」こと村田兆治も記録していない。
200勝投手24人のうち、14人はノーヒットノーランを記録していないのだ。
一方で、通算63勝の沢村栄治と131勝の外木場義郎は3回記録。沢村は戦死しなければさらに勝ち星を増やした可能性があるが、外木場は実力に加えて「持っている投手」だといえるだろう。