ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
高山善廣と鈴木みのるの深く固い絆。
16年前の「なんで受け身とるの?」
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byYukio Hiraku/AFLO
posted2019/09/01 20:00
鈴木みのるがプロレス復帰した2003年当時、アドバイスを送っていたという高山善廣。現在も懸命にリハビリを続けている。
“鈴木みのる”ではなく“鈴木実”として。
全試合終了後、この日試合をした全選手や関係者がリングに集まり、超満員の観客とともに、高山の決め台詞である「ノー・フィアー!」を叫んで大団円となった今回の『TAKAYAMANIA EMPIRE 2』。
最後は、大会の旗振り役でもある鈴木みのるが、いつもとは違う口調で観客にこう語りかけた。
「高山善廣の親友のひとりとしてお願いがあります。みんなのポッケにある10円玉一枚でもいいから、帰りに募金箱に入れていってください。よろしくお願いします」
そう言うと、募金箱を手にリング上で観客に向かって深々と頭を下げた鈴木。プロレスラー“鈴木みのる”ではなく、高山善廣の親友“鈴木実”としての姿がそこにあった。
“プロレス界の帝王”からのアドバイス。
鈴木と高山の盟友関係は、もう15年以上にもなる。きっかけは、鈴木が2003年にパンクラスでの総合格闘技の試合から離れ、プロレスに復帰したこと。なかなか本領が発揮できていなかった鈴木にアドバイスを送ったのが、“プロレス界の帝王”として大活躍していた高山だった。当時のことを鈴木はこう語る。
「高山はUWF系の後輩にあたるんだけど、俺は藤原組、パンクラスで、高山はUWFインターナショナルだったから、それまでほとんど接点がなかった。それが2003年に俺がプロレスに復帰したとき、高山は新日本のトップで活躍していて、そこで接点ができたんだよね。
俺は当時、プロレスに復帰したばかりだったから、なんとかそこに溶け込もうと思って、バックドロップとかいろんな技を使って、相手の攻撃に対しても毎回しっかり受け身を取ってたんだよ。そしたらある時、控え室で高山にボソッと言われたんだよね。『なんであんなに受け身とるの? 相手の技に簡単に倒れて、受け身取ってたら鈴木みのるじゃないよ』って」