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ウッズが全英初日にワースト記録。
「今日は必死で戦い抜いた」
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byGetty Images
posted2019/07/19 13:15
タイガー・ウッズの不調は明白だが、彼ほど終盤に強いイメージがある選手もいないのだ。
一気に状態を上げる「無理」が利かない。
不調の原因は、生涯4度の腰の手術を経てきた43歳の肉体の「現状」「現実」だとウッズは自己分析した。
「体が思うように動かなかった。動かせなかった。だからボールをしっかり捉えることが全然できなかった」
それは、トレーニング不足なのか? 準備不足なのか? 出場試合数が少なすぎたせいなのか?
試合にまったく出なかったこの1カ月、家族でタイへ旅行に出かけたウッズは「父親としての時間を過ごしていた」。
練習もトレーニングも試合数もすべて不足であることは、ウッズ自身、痛いほどわかっている。だが、4月のマスターズで勝利を挙げて以降、彼の心身の疲弊はなかなか回復せず、万全の状態には今なお戻っておらず、無理が利かないのだと彼は明かした。
「たくさん練習したいし、試合に出たい。だが、そうすればするほど、僕が戦いの場に居られる時間は短くなっていく」
「だから試合数を抑えざるを得ない。少しでも長く、僕は戦いの場に居たいから――」
体が意志に反応する、という希望。
午後遅いスタートだったウッズが長く苦しい初日のラウンドを終えたとき、現地時間はすでに午後8時を過ぎていた。2日目は午前の早いスタートになる。疲れた心身を癒す時間が取れぬまま、翌日の戦いを迎えることは、これまでウッズが当たり前のように、そして誰よりも見事に対処してきた戦いの一部だった。
しかし、今のウッズには、それが大きな障壁になりつつある。
「明日、僕の体が僕の意志にきちんと反応してくれることを望むばかりだ」
ウッズのそんな言葉に悲哀が感じられた。