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EU離脱、南北統一の狭間で……。
マキロイが68年ぶり母国での“全英”。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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posted2019/07/17 07:00

EU離脱、南北統一の狭間で……。マキロイが68年ぶり母国での“全英”。<Number Web> photograph by Getty Images

今年のホストとなるロイヤルポートラッシュGCは、マキロイが名を売ったノース・オブ・アイルランド選手権が行われたコースだ。

メジャーを制した北アイルランド人は?

 人口190万人に満たない同国からはこれまで、4人のメジャーチャンピオンが誕生した。

 1947年の全英で“アイルランド人”として初めて4大タイトルを手にしたフレッド・デイリーはポートラッシュの出身。2010年に全米オープンを制したグレーム・マクドウェルはデイリーと同じラスモアGCをホームコースとしていた。ちなみにラスモアGCはロイヤルポートラッシュGCに隣接している。

 2011年に42歳で全英を獲ったダレン・クラークは、これまた同じ北海岸のバリーキャッスルGCのグリーンキーパーだった父のもとで育った。

 ナイトクラブでアルバイトをして家計を助けながらプロの道を探った10代の頃は、近所で爆発があることも珍しくなかった。ゴルフを始めたダンガノンGCは少し内陸部に入った国境近くにある。「ダンガノンはおそらく北アイルランドでもっとも激しく爆撃されたクラブハウスだろう」。テロの恐怖、紛争問題はゴルフを通じても触れてきた。

クラークが出会った天才少年。

 そんなクラークは30代になってから、ロイヤルポートラッシュGCである少年と出会う。当時10歳のロリー・マキロイである。ベルファストの郊外、ハリウッドで生まれた彼は2014年までにメジャー通算4勝(全米プロ2勝、全米オープン1勝、全英1勝)を飾った。

 幼いころから天才少年として注目されたマキロイが、ジュニア時代にその名を国中に、欧州全土に広めたのが2005年に同クラブで行われたノース・オブ・アイルランド選手権という試合。当時16歳のアマチュアゴルファーがたたき出したスコアはなんと1イーグル、9バーディの61(11アンダー)。バックナインは5連続バーディで締めくくり28で回った。

 今回、全英をホストするにあたり、R&Aの指摘から同クラブはチャンピオンシップコースであるダンルースリンクスの17番、18番ホールを中心に改造を行ってきたが、「61」は改修前の記録として永遠に残るコースレコードだ。「そう多くのラウンドですべてのショットを覚えているわけではないけれど、あの時のことは違う」と振り返る本人にとっては特別な一日だったに違いない。

 海の先のセントアンドリュースで、タイガー・ウッズがメジャー通算10勝目を飾る数日前のことだった。

【次ページ】 「アイルランドのためにプレーしたい」

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