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“カッチー”田中勝春も今や48歳。
騎乗減少もまだまだ衰えていない。 

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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photograph bySatoshi Hiramatsu

posted2019/07/12 17:00

“カッチー”田中勝春も今や48歳。騎乗減少もまだまだ衰えていない。<Number Web> photograph by Satoshi Hiramatsu

“カッチー”の愛称でおなじみの田中勝春。JRA通算2000勝まであと234勝(7月7日現在)、小気味いい騎乗での重賞勝利を見たい。

悔いが残る1993年秋の天皇賞。

 ただ、同馬とのコンビでは悔しい思いもした。翌'93年の秋の天皇賞。師匠の管理馬であるセキテイリュウオーと共にこの大一番に臨むと、ゴール前は頭の上げ下げの大接戦。結果はハナ差の2着。惜敗に終わったのだが、負けた相手が「昨日の友」ヤマニンゼファーだったのだ。

「結果的に藤原先生の馬でGIを勝つという最後のチャンスでした。レースが終わった直後も悔しくて悔しくて仕方なかったけど、その後、藤原先生が亡くなられてしまったので、余計に悔しい思いとして残っています」

 そんな事があったから、ではないだろうが、その後はGIではなかなか勝てない日が続いた。

 しかし、2007年にはヴィクトリーを駆って皐月賞(GI)を優勝。更にその直後にはシンガポール航空国際カップ(GI)を制覇。海外遠征でのGI制覇も成し遂げてみせた。

 この年は年頭から好調に勝ち星も積み上げ、最終的にはキャリアハイとなる108勝。リーディングも5位と健闘した。

苦戦が続くが技術は衰えていない。

 その後はこの成績を上回る事こそないが、コンスタントに毎年50~60勝はマークしていた。

 しかし、残念な事に近年は少々苦戦が続いており、ここ3年はいずれも20勝台。今年はさらにペースダウンし、7月7日の時点でまだ6勝。騎乗数も激減している。

 ただ、見ている限り、数字ほどの衰えは感じさせない。ジョッキーというのは体力勝負である反面、技術職でもある。他の多くのスポーツに比べ、加齢による肉体的な衰えを経験で補える職種であり、事実、田中騎手より年長の武豊騎手はまだ一線で頑張っている。

 技術職である以上、いきなり上手くなる事は難しい。反面、いきなり下手になる事もないはずなのだ。

【次ページ】 本来の力を発揮できれば。

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田中勝春
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