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ジーコとブッフバルトの久保建英評。
「日本のメッシと呼んではいけない」 

text by

松本宣昭

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto

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photograph byJ.LEAGUE

posted2019/07/10 11:30

ジーコとブッフバルトの久保建英評。「日本のメッシと呼んではいけない」<Number Web> photograph by J.LEAGUE

久保建英について熱く語った(左から)ジーコ氏とブッフバルト氏。

ブラジルで今起きている懸念とは。

「若い選手がすぐにヨーロッパへ移籍する。今、日本で起きている現象と同じことが、実はブラジルでも数年前から起きています。例えばカゼミーロ(レアル・マドリー)、ルーカス・モウラ(トッテナム)、ダビド・ネレス(アヤックス)などです。

 正直に言えば、これは良くない状況だと思います。選手が未熟なまま、自国のサッカーの特徴を理解しないままヨーロッパでプレーを始める。将来、その選手たちが成功して代表チームに呼ばれたとき、ブラジルサッカーの特徴を知らないために、ブラジルの良さがだんだんと消滅してしまっていく。これと同じ状況が、日本サッカーでも起きるんじゃないかと心配しています」

現代の選手はドリブルが少ない。

「私が現役の頃は、ヨーロッパへ行くのは23~28歳のころが理想的だと思われていました。ところが現代の移籍市場では、23歳以上の選手はあまり価値がないかのように扱われてしまう。だから、できるだけ若いうちに移籍しようとする。この流れも、良くないと思います。私は、ある程度の経験を積んでから移籍したほうが、選手自身のためになるのではないかと考えています。

 選手個々のプレースタイルの変化も気になります。現代の選手はドリブルが少なく、すぐにパスのことを考える。個人技を重視する選手の数が減っているように感じます。頭の中が、“できるだけ早く味方にパスをしよう”という考え方でいっぱいで、ある意味、ロボットのように動いてしまう。これも良くないと思います」

 日本サッカーとJリーグを愛するからこそ、レジェンドたちが伝える不安と危機感。これが、“おじさまたちの杞憂”に終わるかどうかは、欧州へ渡る決断をする若者たちの覚悟と成長次第である。

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