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牝馬特有の脚ではなく「力ずく」。
歴史を塗り替えたリスグラシュー。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2019/06/28 07:30
リスグラシューの父・ハーツクライはドバイレース(GI)を制すなど、海外でも実績を残した名馬だ。
勝算を持って挑んだ宝塚記念。
思えば、3歳の春先にはなかなか結果を残す事が出来なかった。2歳の未勝利戦では阪神のレコードタイムをマークして勝つような素質馬だったが、桜花賞で2着に惜敗すると、オークスは5着。秋華賞も2着に敗れていた。
「あの頃は競馬場へ輸送をするだけでダメージがありました。関東への輸送となるとなおさら。そのせいで、持っている力をレースへ行って出せない感じだったんです」
それが古馬になり、芯が入ったのだろう。昨年の香港などではまだ環境の変化を気にする面があったそうだが、それも解消した上で、今回は関西圏でのレース。たとえ牡馬の一流どころが相手でも、充分に勝負になるという計算を、陣営は立てていたのである。
キセキに3馬身差の圧勝劇、次なる舞台は?
さて、結果は皆さんご存知の通り。
逃げた1番人気馬のキセキをマンマークで捉えに行くと、早目にかわし、後は独走態勢。リスグラシュー以外の馬の末脚を封じたキセキに3馬身差をつける圧勝劇。牝馬特有の切れる脚を駆使して、というレースぶりではなく、力ずくで牡馬勢をねじ伏せ、独擅場といって良い内容で自身2度目のGI制覇を達成したのである。
今後、目指すところはどこになるのか。
国際派で知られる矢作調教師であり、事実この馬自身、2度も香港に飛んでいるのだから“3度目の正直”を目指して、海を越える可能性はかなり高いだろう。