濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
10年目の三沢光晴メモリアル大会。
22歳の清宮海斗が提示した“ノアの未来”。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by(C)PRO-WRESTLING NOAH
posted2019/06/19 11:00
三沢光晴の写真が見つめる後楽園ホールで、GHCヘビー級ベルトを高々と掲げた清宮海斗。
清宮になら、ノアを任せても大丈夫だ。
何人もの先輩を追い抜いて“飛び級”でベルトを巻いた清宮だが、そこに「会社にプッシュされている」、「実力に見合わない重責を担わされている」といった不自然さはない。若くてガムシャラで、なのにチャンピオンらしくもあるのだ。それは彼が揺るぎないプロレス観、いわば“ノアイズム”を持っているからだろう。
もちろん、今が完成形でもない。大げさでなく、清宮は「これから10年、20年先までノアを任せても大丈夫だ」と思わせてくれる存在だ。
毎年恒例の三沢メモリアル大会は、豊かな過去に想いを馳せるものだ。だが巨星を失って10年になる今年、清宮海斗はノアを受け継ぐ者としてファンに未来を提示した。誰もがこの日を待っていた。
「ノアを日本一、世界一の団体にします」
あまりにまっすぐな言葉も、彼が言うなら信じてみたくなる。