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スポーツクライミングの醍醐味が満載。
西条を熱くしたコンバインドの激闘。

posted2019/06/28 11:00

 
スポーツクライミングの醍醐味が満載。西条を熱くしたコンバインドの激闘。<Number Web> photograph by Ichiro Tsugane

3つ目のジャパンカップを制した“女王”野中生萌と大会2連覇を達成した楢﨑智亜。

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津金壱郎

津金壱郎Ichiro Tsugane

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Ichiro Tsugane

 西日本最高峰となる標高1.982mの石鎚山(いしづちさん)の麓に位置する愛媛県西条市は、「国内では数少ない上水道の水道料金がほとんどかからない街だ」と、乗り込んだタクシーの運転手が誇らしげに教えてくれた。

 理由はJR伊予西条駅の北側を東西に走る断層によってせき止められた石鎚山系の伏流水が溜まり、地中にパイプを打ち込むだけで噴き出すほど良質の地下水が豊富だからだという。そうして湧いた水を、「打ち抜き水」と呼ぶのだそうだ。

 5月25日・26日に愛媛県西条市で、『第2回コンバインド・ジャパンカップ』が開催された。8月に東京・八王子で行われる『世界選手権コンバインド』の日本代表の座がかけられたなか、打ち抜き水のように溜め込んだ力を解き放った選手が、世界選手権に出場する日本代表になるための条件をクリアした。

 全国各地で最高気温30度以上が観測された大会1日目の25日、西条でも気温30度を越したなかで、男子20選手、女子19選手がスピード(2度のタイム計測)、ボルダリング(4課題)、リード(1課題)の順に3種目に挑む予選が行われた。

 昨秋に完成したスピード壁で実施されたスピードでは、男女ともに多くの選手が自己記録を更新。男子では藤井快が自己ベストの6秒528をマークして1位になると、ライバルの楢﨑智亜も6秒654で続いたが、圧巻だったのは女子の野中生萌だ。

 世界選手権の代表がかかるプレッシャーもあってか、予選1本目は慎重にスタートを切る選手が多いなか、持ちタイムで他を圧倒する野中が、1本目の計測で8秒499の日本記録を叩き出したのだ。

スピードでの、野中生萌(左)と野口啓代のスタート。

「スタートには気をつけながら、感覚的には普段と同じで登ったんですけど、ベストが出ましたね。新しくできたばかりなので、壁のフリクション(摩擦)が良かったのが影響したんでしょうね。体が下に落ちずに高めをキープしながら登っていけました」(野中)

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