太田雄貴のEnjoy FencingBACK NUMBER
【NSBC第3期 スペシャルトーク】
太田雄貴×島田社長、特別対談前編。
成功するスポーツ組織の共通項って?
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/06/14 08:00
特別対談で大いに語り合った日本フェンシング協会・太田雄貴会長(左)とBリーグ千葉ジェッツの島田慎二社長。
ファンにとっての「自分事」にする。
太田 バスケをビジネスとして捉えていけるようになったのは、それこそBリーグがスタートした3年ほど前からだと思いますが、今季、チャンピオンシップ準決勝まで進んだ4チームのうち2つがbjリーグ出身ですよね。
島田 明確に企業系のクラブ、と言えるのはアルバルク東京だけで、栃木ブレックスはJBLからスタートしていますが、その中では唯一のプロチームでした。そういう意味では、地域密着プロクラブ系が4チーム中3つ、ということになります。
太田 ファンの方々の熱量も高いし、みなさんがチームの存在を「自分事」としてとらえている。ものすごく色々なものを巻き込んでいる感じがしました。サプライヤーと受ける側というよりも、チームとファンが一緒に育っていっていますよね。その中でも最もポテンシャルがあり、ワクワクさせてくれるのが千葉ジェッツさんという印象があります。
島田 ありがとうございます。
稼げるからこそ選手に投資できる。
太田 楽天の球団の立ち上げに携わったヤフーの小澤隆生さんは常々、「勝利、勝ち負けに左右されない経営が球団に求められることだ」とお話をされています。実際に楽天球団を立ち上げたときは、収益構造がチーム成績にあまり左右されない形を作り、新チーム初年度はリーグ最下位だったにもかかわらず黒字を達成していました。ジェッツを運営されていく上で、島田さんは一番何を大事にされてきましたか。
島田 勝ち負けにまったく左右されないスポーツはそうは多くはありませんが、勝敗に翻弄されるだけでは経営として成り立ちません。それほどリスキーだと投資家もスポンサーも集められませんから。稼ぐ状況をいかに作るかを考えた時、何度でもそこにお金を落としたくなる、もしくは新しい顧客がお金を落としたくなる状況を作るしかありません。
試合だけであれば、魅力的なバスケットかどうかはあったとしても、最終的には結果だけにフィーチャーしてしまいます。そこでバスケというコンテンツを中核に据えながらも、エンタメやホスピタリティ等を徹底的に磨き上げることが、事業的にも、選手を育てるという観点でもポジティブだと捉えています。結果、稼げるからこそ選手に投資できますし、選手が戦う環境を作ることができる。お客さんにも来場する価値を感じてもらえます。
太田 一般ユーザーの顧客目線に立って満足度を上昇させ、磨き上げた結果が現在の形ですよね。とはいえ収益の構造上、チケッティング(観客収入)はもちろんですが、スポンサードの規模が安定的な収益構造の鍵となってきますよね。
スポンサーシップのアクティベーション(スポンサー企業が行うマーケティングイベントなど)をはじめとした、チームスポンサーになることのメリットに関しては、どうお考えでしょう。典型的なのはロゴをユニフォームやスタジアムに表示していく、ということかと思いますが、どんなシナジーを生み出していくか、そのあたりのマーケティングはどのように行っていますか。