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U-20W杯、韓国に敗れた1つのミス。
菅原由勢「一生頭から離れない」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2019/06/05 17:00
菅原由勢にとっては、光と陰の落差の大きい大会になった。しかし世界の戦いを実感した経験は必ずプラスになるはずだ。
支配率は優勢、シュートは同数だったが。
菅原はこのチームの中心的選手だ。主将は齊藤未月だが、その脇を支えるなくてはならない選手だ。'99年1月1日以降生まれで構成されるこのチームで'00年生まれと年下組ではあるが、2017年U17W杯チームの主力でもあった。
所属の名古屋でも今季ルヴァンカップで5試合に先発。センターバックもサイドバックもこなせる、器用さと戦術眼を持つ上にタフでパワフル。攻撃参加もタイミングがよく、スケール感を感じさせた。
その菅原がミスをした。84分、自陣ペナルティエリアに攻め込まれたあたりで菅原がボール奪取に成功。だが、これをそのまま相手にパスしてしまった。パスを受けた格好のチェ・ジュンが余裕を持って丁寧なクロスを入れると、オ・セフンは、マークについていた小林友希を物ともせず頭で合わせゴール右隅に流し込んだ。
数字が如実に内容を示すような試合でもあった。ボール支配率は61パーセント対39パーセントで日本が上回った。シュート数はともに10本ずつ、だが枠内シュートは日本が1本だったのに対し韓国は4本だった。
「客観的に観ていたら優勢だったと思うし、チャンスもあったと思う。それはピッチ上で僕らも感じていた部分。ただやっぱり、チャンスが何度もあると思ってしまったことが……」
「相手以上に闘志がありました」
優勢だったからこそ、ある種の甘えがあったことを認めざるを得ない。
「試合中の中で自分たちがボールを持っているからチャンスがあるだろうという考えになってしまっていて、アバウトなボールを入れてしまったり……。もちろんそれも戦術的にはありだけど、本当にこの試合の中でこの1つのチャンスに懸けるという情熱をボールに込められていたかと言えば込められていなかったと思うし、僕自身も込められていなかった。チャンスはあるからではなく、このチャンスでゲームを仕留めきって終わらせると思えなかった弱さを突き付けられた」
とはいえメンタル、勝負への執着で韓国に負けたとは思っていない。
「僕たちには相手以上に闘志がありましたし、戦う気持ちも持っていました。正直、体がボロボロになってでも勝たないといけない試合だと思ってやっていたので、そこは悔しく思います」